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いじめっ子の心理


氷帝学園中等部2年の明良。

彼女は跡部家に仕える使用人だ。

最近、ワガママ主人に仕えるのはなかなか大変な仕事だと感じていた。


「おい、明良。これ、運んでおけ。それが終わったら紅茶を運べ。」

『は、はい。かしこまりました。』

「ちんたらするなよ?」

『はい、景吾様。』


それどころか、都合よくこき使われるのが使用人なんだろうか、と疑問まで持ち始めていた。

そんなとき、学校の全授業が終わり、帰宅しようと玄関に向けて歩いていると跡部の友人である忍足に声をかけられた。


「明良やん。調子はどうや?」

『忍足先輩、』

「跡部の横暴さに参っとるん?最近、疲れきった顔してるん気づいとる?」

『そんなことは…』


忍足の洞察力は優れている。

彼女にそんなつもりはなくとも、そういう雰囲気が漂っていたのかもしれない。

気をつけなければ、と内心反省した。


「でも、跡部のことやから命令口調で休む暇なく用事押しつけんねやろ?」

『確かに休む暇なく。自分ですればいいのにって思うようなことまで私にさせるんですよ?信じられない。』

「嫌気さす?」

『…少し、』

「跡部の世話、放棄したい?」

『そう思ってしまうこともなくはないです。』

「バカヤローって言いたなる?」

『……そうですね。でも、』


そのとき、主人である跡部が見ているとも知らず、本心を語る明良。

ふと忍足が目線を逸らすと彼は跡部を視界に捕らえ、目を見開いた。


「……跡部、」

『…け、景吾様…』


彼の表情が明るいものでないのは一目瞭然。

さらに跡部はその場を立ち去るように踵を翻した。


「オイ、明良。」

『は、はい…!』

「帰ったら机の上にある資料、片づけとけ。」

『はい、』

「(明良は俺のことだけ考えてりゃいいんだよ、)」


彼はなにも聞かなかったように用件を告げると去っていく。

それを見た忍足は明良に言った。


「今のんで余計こき使われたりしてな?」

『最近、確かに景吾様にこき使われているとは感じます。これが使用人なのか、と考えます。でも…』

「でも?」

『彼のそばにいられるなら、使用人でもかまいません。なにかと私の名前を呼ぶ彼に愛しさを感じている私の負けです。』


明良は忍足に向かって一礼すると跡部を追いかけていった。

それを見ていた忍足は笑いながら明良に言った。


「早よう気づきぃや?」


意味はわからなかったようだが立ち止まった明良はまた頭を下げて走り出した。


「たく。焦れったい二人やな。ていうより跡部が悪いな。あのままやったらまるで…」





いじめっ子の心理
好きな子をいじめるいじめっ子やん





** END **
#2008.2.9

NO.262000
香岡様



あきゅろす。
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