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翼を信じて


私の背中には翼がある。

小さな、小さな羽が集まって翼となっている。

背中に翼があるならあなたの元へ飛んでいけるはず。


『景吾、』

「んだよ?」


好きだと言われて、嬉しかったのにあなたに甘える自信がなかったの。

私は臆病だった。


『今からでも遅くはない?』

「主語がなくて理解できねぇ。」

『ごめん、』

「……」


今もあなたは私を好きでいてくれてる?

今からでもあなたに甘えること遅くはない?


「明良がその気なら間に合うんじゃねえ?」


自分の気持ち、小さすぎてわからなかった。

だけど、あなたから告白されて、あなたが遠い存在になってしまうとわかった。

自分の気持ちの弱さ。

本当は自分が気づく前からあなたが好きだったとわかったの。

それとわかるなり、気持ちが急に加速した。

あなたが遠い存在になってしまってから、教えてくれた電話番号にかけた。


「答え、決まったら教えろ。」


そう言っていたあなたにもう遅くても、自分の気持ち伝えたい。


『景吾、』

「ん?」

『私、ずっと景吾が…』

「俺が?」

『好きだった。』

「過去形かよ、」

『……今も好き。』


少し間が空いてしまい、窮屈な思いをした。

いっそのこと、電話を切ってしまおうかと思った。


「やっと、答え聞かしてくれたな。告白したことさえ忘れてんじゃないかって思ったぜ。」

『ごめん、』

「すぐ謝るのは明良の悪い癖だ。」


電話の向こうで笑う声が聞こえた。

私はこの笑い声をよく知っている。

私に関して呆れながらも、愛おしんでくれてるときの笑い。


『景吾?』

「あ?」

『今、会いたい。』

「(可愛いこと言いやがって。)」

『そう思った。』

「高等部卒業したらアメリカ行くって聞いて急に寂しくなったんだろ?」

『…うん、』

「(あーくそ。なんで電話なんだよ。直接会ってたら間違いなく抱きしめてた。)」


気持ちが加速した高等部3年の2月。

幼なじみが日本からいなくなると忍足くんから聞いて、臆病ではいられなかった。

あなたに気持ちを伝えられなければきっと後悔したから。

私の小さな翼(気持ち)は動かないと思っていたけど、思っていたより立派だったみたいだよ景吾。





翼を信じて
あたなに会いに行きたい気持ちが私の臆病で小さな翼を動かした





** END **
#2008.2.5

早めの卒業ネタ



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