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この空の下


雲一つない快晴の日。

気分転換に外へ出た。

ふと立ち止まり、空を見上げると飛行機雲が一本、真っ青な空に延びていた。


「お、見覚えある赤毛やなぁ。」


聞き慣れた独特な声と関西弁。

その日、中等部時代からよく連んでた忍足侑士と久々に再会した。


「侑士、久しぶり!」

「元気そうやな?」

「侑士も相変わらず?」


侑士は昼休みだったらしく、昼食がまだだと言うから一緒に飯を食いに行くことにした。

俺が好きなイタリアンの店に向かう途中、侑士がふと笑いながら口を開いた。


「思い出すな岳人?」

「なにが?」

「明良や。」

「あー…」


侑士の言葉に俺は空を見上げた。

明良とは幼なじみで仲が良く、高等部まで一緒だったヤツだ。

パティシエになりたいが故に高等部での外国語選科でフランス語を選択していた。

高校卒業と共にお菓子専門の学校に飛んでった。


『岳人、また会おうね!』

「頑張れよ、明良!」

『帰ってきたら一番に岳人にお菓子作るからね!』

「楽しみにしてる。」


空を見上げれば、目標に向かって羽ばたいていった明良が見える。

笑って、“また会おう”と言った明良がいた。


「浮気せずにやっとんのかね?」

「浮気なんか明良がすっかよ。そんな暇ねぇくらい必死こいて菓子作ってるってば。」

「知っとる?パティシエってな?試作品とか食べるから太んねんで?」

「え?マジ?」

「どないする?帰ってきて会うて太っとったら。」

「……明良は明良!」

「よう言うた。」


なぁ、明良?

おまえは今日も頑張ってる?

同じ空、見てる?


「それにしても遠距離恋愛、よう続くな岳人。関心やわ。」

「仲良いヤツはどこにいたって仲が良いまんまじゃん?それってお互いの絆を信じてるからだろ?」

「あぁ、まぁな?アメリカ行った跡部がその例やもんな?」

「それと同じでさ?明良が俺を信じて、俺が明良を信じてれば恋人同士でいられんの。」


そう言えば、侑士は俺を見て羨ましいと呟いた。


「ちょ!俺、今すんげぇ良いこと言わなかった!?」

「はいはい、そうですね。」


違う土地の空気吸ってても、同じ空の下にいることを忘れなければいい。

明良は頑張ってると思えば、俺も頑張れる。

つまり、俺にしたら今の明良はライバル。


「明良には負けねぇ!」


お互いライバルと見なして頑張っていれば、それで俺たちはうまくいってると思う。

この空の下に俺がいて、明良がいて、再会を待ちわびながら毎日必死に生きている――なんて、ちょっと格好良くねぇ?

俺は輝く明良の目が好きだから、おまえには負けねぇよ。





この空の下
俺とおまえがいることには変わりない





** END **
#2008.2.4

こんな風に今、励まされました*笑



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