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片思いの裏事情


『はい、どうぞ?』

「いつもすまねぇな?」

『好きでしてるからいいの。』


目の前では美味そうな弁当が広げられている。

父親が無職だということで同情からかジャッカルのために弁当を作って持ってくる明良。


「うっまそ〜!」

『ブン太にはあげない!ジャッカルに作ってきたんだから!』


つまみ食いをしようと伸ばした手を叩かれ、パチンと軽い音がした。

痛くはないがわざと叩かれた手をさすってみた。


「……丸井、少し食うか?」

「やりぃー!サンキュー、ジャッカル!」

『もぉ!ジャッカルはお人好しなんだから。』


食べた卵焼きの味に惚れた俺は胃に収めた後にすんげぇ美味かった、と満足げに言った。


「(丸井は食べ物にはうるさいのによかったな、明良。)」

『(う、うん!)』


ふと明良を見れば、ジャッカルと笑い合っていた。

それも嬉しそうに。

どうやら俺の好きな奴には好きな奴がいたらしい。


「明良は……ジャッカルが、」

『なに?』

「いんや?なんでもねぇよ。」


明良がジャッカルの為に作ってきた弁当の中に俺好みの甘い卵焼きがあったことを。

俺の口に合う物をわざわざ作ってくれたこと。

俺はそれと気づかず、失恋したと思いこむ。





片思いの裏事情
(アイツ鈍いから早く告らないと勘違いされるぞ?)(まだブン太にお弁当をあげる自信ないの、)(……)





** END **

2007.10.2



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