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  求めるのは君


「そろそろ上がれよ、俺様が入れねぇだろうが!」

『まだかかる〜…』


先からこれの繰り返し。

女ってのはどうしてこうも風呂に時間がかかるのなのか。


「もーいい、入る!」


着ていた服を脱ぎ捨て、腰にタオルを巻き、浴室へ足を踏み入れた。


『ちょ、やだ!』

「うっせ、」

『早く出てよ!!』

「俺が先に入るっつたのに先に入りやがって。」

『だってレディファーストでしょ?』


体を洗う明良を横目に、ふんと鼻で笑う。


「レディ、な?」


嫌みたらしく言うと石鹸が飛んできて頭に当たった。


「っにしやがる!」

『何か文句(言いたいこと)があるなら直接言いなさい!』


そう言った明良を見、俺は湯船に向けて歩いていたが180度向きを変えた。

そしてゆっくり明良の元へ向かう。
体を洗っていた##name1##がふと顔をあげたとき、鏡越しに目があった。

そして泡だらけになっている体に手を滑らせる。


『ッ、ちょっと!』

「ご希望通り、言いたいこと言いに来たぜ…お姉さま?」


妖しく笑う俺を見て慌てて立ち上がろうとした明良だったが、体が反応したためにイスに座っているしかなかった。


「愛してる、」

『ッ、』

「姉貴、いや…明良、愛してる。」

『やめてっ、』

「やめて、なんて言われても…好きなもんは好きなんだからしかたねぇだろ?」


シャワーを手に取り、泡だらけになっている体を洗い流す。

いつもは白い肌なのに風呂に入ったせいで血行が良くなり、少しピンクがかっている。

それもまた魅力的だった。


シャワーを片手に念入りに明良の体をさすりながら泡を流す。

すると胸の突起が徐々に立ち上がっていった。


『ここ、お風呂…』

「いいじゃねぇかよ、」

『ヤダ…今、ゴムないし。』

「ゴムだ?ふんっ、誰がセックスするって言ったよ?」

『!』


カァッと顔を赤らめた明良の頬に優しくキスをする。

ここまでしといて“やりません”なんてことがあるわけない。

しかし、明良をイジメるとなかなか可愛い反応をしてくれるもんだから、俺としては楽しいのだ。

持っていたシャワーをそのまま壁に掛けて彼女を抱き上げ、なにもない壁に背をつけて立たせた。


「0.数ミリの厚さであっても隔たりは隔たりだからな。言うまでもなく生のが気持ち良いだろうよ。」


抵抗する前に胸を愛撫し、深くキスをし、覚悟を決めさせる。

次第に大人しくなる明良。

素直じゃない姉を扱うのは慣れたもので、その付き合いは20年にもなる。


「なぁ、明良?俺は##name1##を愛してる。」

『それが言いたいこと?』

「あぁ、」


俺の返答を聞いて満足そうに目を細め笑った顔は俺の姉であることがよくわかる。

似ているのだ。


『私も、愛してるよ。景吾。』


だが、俺には関係ない。

愛しているからだ。

そして、今日も風呂場で繰り広げられる甘いメロディーはシャワーの音にかき消される。

届くのは俺の耳だけ。

明良の奏でる、欲望を掻き立てるメロディーは俺のもの。

誰にも渡さない。





求めるのはキミ
人はこれを狂愛と呼ぶが、俺はこれを純愛と呼ぶのだった





** END **
#2007.6.20


あきゅろす。
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