忘れないで
元カノから告げられた言葉は他人と交わした契(ちぎ)り、“婚約”の二文字。
俺と別れてからは順調も順調だったから、いつかそうなると思ってた。
しかし、俺は別れたくて明良と別れたわけじゃない。
別れを告げられた立場だった。
『侑士の仕事が落ち着いたら婚姻届け出すの。』
「ふーん?それはよかったな、」
なにか納得がいかなくて明良に迫った。
身の危険を感じたのか、彼女は後ずさりした。
「今、俺様がお祝いしてやるぜ?」
『い、いいよ…また今度侑士と二人で来るから。』
「遠慮すんなよ、」
背中がドンと壁に当たり、彼女には逃げ場がない。
それでも抵抗する明良はなんと俺を振り切って逃げ出した。
「逃がさねぇ!」
『や、やだ!放して!!』
「なにされるかわかってんのに大人しく帰せるかよ。」
すぐに明良を捕まえ、ベッドに押し倒し、服を半ば破りながら脱がせた。
『いやぁぁぁ!侑士ぃ侑士ー!』
「俺はあのとき、納得して別れたわけじゃねぇんだよ!!」
『やめてぇ!!』
その日、人の女を無理矢理犯した。
強引に胸を揉み、逃げないように腹の上に乗り、秘部を舌で愛撫した。
明良は必死に口を押さえ、極力声を出さないようにしているが無駄な労力だ。
『ん、…はぁ、ッ!』
「おら!頑張れよ!」
『ゃあっ!…なんで、な…んでなの、景吾。』
「なんでだと?ふん、愚問だな。俺は別れようって明良に言われてそうしよう、なんて一言も言っちゃいねぇんだよ!」
『っんー!』
「傷が入った果物は商品にはならねぇ。明良、おまえも同じだ。」
『ど、ゆこと?』
「汚れた女を忍足が欲しがるかよ!!」
『――!』
無理矢理突っ込んだため、明良の膣内はひどく痛んでいた。
悪いとは思う。
だが、俺はあの日から一度も明良と築き上げた幸せだった日々を忘れたことはなかった。
「悪いな、明良…」
俺なんか眼中にはない明良を未だに愛していた。
明良を思うあまり、抑えられない欲に苦しむ夜もあった。
ほかの女を性欲処理のために抱いた日もあった。
だが、ほかの女を抱いたところで気持ちは静まらなかった。
再びこの手中で踊る明良をいつも夢見ていた。
だが――
「残るのは罪悪感だけだったな…」
気を失ってしまった明良の髪を撫で、腕の中に納めた。
「忘れて欲しくなかったんだ……」
俺の名を呼ぶこと、
それに返事をした俺を見て微笑むこと、
幼子のように手を繋いだ日々、
好きの言葉を発するのに2時間も寒い中立っていたこと、
俺の温もり、
初めてのキス、
俺を愛すこと、
ずっと一緒にいようね――と誓った気持ちを、
忘れないで
明良を愛してる、それだけは
** END **
#2007.7.3
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