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頑張れマイラバー!


仕事をする女は良い女、だなんて誰が決めたん?


『もう少し頑張らなくちゃ!』


それが彼女の口癖やった。

人一倍働き者な俺の彼女、明良。


「それはええけど、頑張りすぎやで?」


頑張ってくれるのは結構やけど、自分の限界を知らんとやりすぎて疲れてまうんは多々あることやった。



それはある日のこと。

携帯電話が鳴り、ディスプレイには登録してあった明良の名前が出た。

仕事中ではあったが相手が相手であったため片手に資料を持ちながらも電話に出た。


「明良がこんな時間に電話してくるなんて珍しいやん。どないしたん?」

「あ、侑士くん?」


いつも通り電話に出たが電話の相手は彼女ではなく、彼女の母親であると気づき、慌てて改めた。


「すいません、明良やと思ったんもんで…」

「いいのよ。明良の携帯から電話したんだもん。」

「で、どないしたんです?」

「明良なんだけどね?」


母親が言った言葉を聞いた俺は唖然とした。

血の気がサァッと引いていくのがよくわかった。


「どこにおるんですか?」


すぐに場所を確認すると俺はやりかけていた仕事を投げ出して明良の元へ走った。

病室の扉を開ければ、血相を換えた俺とは逆に嬉しそうに笑う明良の姿があった。


『侑ちゃん、来てくれたの?』

「……アホぉ!心配したんやで!?」

『ごめんごめん(笑)』


ヘラッと力なく笑う明良がより一層痩せて見えた。


「働きすぎなんやて。」

『寝てれば平気だから、安心して?』


安心して、言われても安心できひん。

大切な人が体調崩してる姿見て、寝てれば治るなんて言われても説得力ないで?


「なぁ、俺は頼りにならん?」

『そんなわけないじゃない。侑ちゃんは頼りになるよ?』

「せやったら、せめて疲れたーくらい愚痴ってぇな。なにも言うてくれへんでいきなりは…」


俺の表情を見てか、明良はベッドから身を起こして手を伸ばし、頬を触ってきた。


『侑ちゃん、明良さ?何かをして気を紛らわしてないとすぐ侑ちゃんが恋しくなるの。』
「そんなん言うてくれたら会いに行くのに。」

『侑ちゃんが今、一番大切な時だってこと知ってるからあまり邪魔したくなくて…』

「明良がこんなことになるよりはマシやから、」

『……じゃあ、これからは甘えさせてもらおうかな?』

「そうそう、素直なんが一番や。」


俺がそう言うと遠慮しながら明良が静かに口を開いた。


『今は……甘えてもいい?』

「……ええに決まってるやんか。アホやなぁ。」


俺の言葉を聞き、明良はいきなり抱きついてきた。


『侑ちゃんの匂い、凄く久しぶりだー!』


久しぶりに甘えてきた明良をしっかり抱きしめるとなぜか彼女を哀れんでしまった。

“俺のせい”

そんなことを思うと明良を早く迎えに来たいと思った。


「なぁ、明良?」

『なぁに?』

「もう少し待っててな?」

『うん…?』





頑張れマイラバー!
俺のお嫁さんとして迎えに行くから





** END **
#2007.8.15(愛する楼兎へ)


あきゅろす。
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