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When you're gone


幼なじみの明良と俺が遊ぶんはいつも決まって秘密基地と言う名の廃屋だった。


「明良〜?どこいったん〜?」

『かくれんぼなんだからさがしてよー!』


雑品の間に隠れたりして二人でかくれんぼするんが楽しみやった。

その廃屋は今でも残っており、時たま見かけることもある。


家が隣同士である明良とは登下校時が重なることが多い。

というより実際、一緒に登下校するものだと思っていたり。


『ねぇ、雅治。たまには違う道通らない?』

「たまにはいいのう、」


それが悲劇の始まりだった。

明良の言う違う道とは寄り道のことで俺らは廃屋に立ち入った。


『懐かしいー』


喜んで走り回る明良はまるで子犬のようだった。

その様子を見て目を細めて愛おしんだ。


『よし!かくれんぼしよ?雅治が鬼ね?』

「勝手に決めよって、」


きゃーと言いながら喜んで隠れに行った明良を俺はポツンと一人たたずみ、見送った。

数を数えるのもアホくさくて時間の経過を待った。

探しに行こうかと動き始めたとき、大きな物音がした。


「なん…?」


胸騒ぎがしてすぐに明良を探しに行った。

名前を呼んで呼んで呼びまくった。


「明良ー!!」

『……ま、さ…』

「明良!!」


ようやく見つけて一瞬安心した。

しかし、床に広がる赤い液体の量を見て血の気が引いた。


『ま……はる……助、け――』

「助けるけぇ!今…助け、ちゃる……」


彼女の手を取って涙があふれた。

その手が異常に冷たかったからだ。


「明良…明良ー!!」


大切な人を守れなかった悔しさは計り知れない。

彼女の願いを無力だった故に俺は叶えてやれなかった。


「俺のせいじゃ…!」


俺は永遠に嘆くだろう。

その場を目にする度に俺は恐怖へと追い込まれる。

明良への思いが深まると同時に心の傷も深まった。


「誰か…誰か俺を殺してくれー!!」

「バカ言うな仁王!」

「落ち着け!!」

「離せ!明良っ、明良ーっ!うああああー!」


彼女の後を追うことを誰も許してくれなかった。


どんなことでも耐える。

だから明良の元へ逝かせてくれ。



When you're gone
廃屋は俺たちの別れの場所――。





** END **
#2007.12.18

When you're gone
訳:あなたが去るとき

3ヶ月も懐で暖まっていたネタ*笑



あきゅろす。
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