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突っ張りハニー


この道を大好きな先輩と一緒に歩くことが出来るのもあとわずか。

そう思うと一年早く生まれた先輩を、一年遅く生まれた俺を憎む。

大げさに聞こえるかもしんねぇけど、それだけ俺にしたら明良先輩と過ごすことは重要なんだ。


「寒いっスねー」

『赤也の鼻先赤いもんね、』

「だって寒いんス。つか、そーゆー先輩こそ、鼻先赤いですよ?」


からかい口調で言えば、頭を殴られた。

しかもグーだぜ?

ぜってぇ、コイツ女じゃない。


『女じゃなくてすいませんね、』

「うそ!俺口に『出てた。』


機嫌悪そうに言う明良先輩。

ただ、申し訳なく思いながら謝る。

しかし、先輩は先へ先へと進んでいく。

ありえないし。


「明良せんぱーい!」

『なによ?』

「マジで!俺、先輩のこと女にしか見てねぇし。」

『今さっき女じゃないって言ったの誰よ?』

「……すいません。」


立ち止まった俺に気づき、明良先輩も立ち止まり、振り返り見た。

俯いている俺の首をあげるべく、先輩は俺のマフラーを引っ張った。

危うく首が締まるところだった。


「ちょ、なにするんす……!」


顔をあげた瞬間、唇を奪われ、俺は驚いて目を見開いた。


『もう気にしてない。』

「うそつき!まだ根に持ってるくせに!」


そう言った俺の額に容赦なくデコピンをする先輩。

何気に凶暴。


『どうせ女じゃないもん。』

「やっぱりまだ拗ねてんじゃん!」


明良先輩の顔を見て眉をしかめていると諦めたように言われた。


『拗ねてたら悪い?』

「へ?」


意外な答えに一瞬戸惑った。

まさか、そんなにあっさりと自分の気持ちを認めるなんて珍しかった。


「ヘヘッ、」

『なっ!き、気持ち悪い!』

「だってさー?」


突っ張り彼女の明良先輩が素直なんだもん。

彼氏としては嬉しいっしょ?


「よかったー!明良先輩が卒業したら俺ら終わっちまうかと思ってたから。」


そう言った俺を照れ隠しで突き飛ばす先輩。

俺を置いて行こうとする彼女に俺は言う。


「つーか、俺にもっと頼ってよ!俺にもっと甘えてよ!俺、明良先輩の彼氏なんしょ?」


立ち止まりはしたが反応のない(背中を見ててもわからない)先輩に駆け寄った。

俺の訴えをどう受け取ったのかわからず、顔をのぞきこんだ。


『……み、見ないで!』


顔を真っ赤にしてそっぽ向いた先輩があまりにも可愛くて抱きしめた。


「やっぱり俺、ちょっと乱暴でも明良先輩が好きっス!」

『ちょっと乱暴は余計だ、』





突っ張りハニー
少しずつでいいから甘え方覚えろよ?





** END **
#2007.12.6


あきゅろす。
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