暖かい君と手
吐き出した息が白く濁り、鼻のてっぺんが冷たくなるような季節。俺は幼なじみの##name1##に呼び出されて公園にいた。なにやら話があるということだったが一向に明良の口が開く気配はない。
「いつまで待たせんだよ。」
『…その、』
言いにくいことなのか、明良は言葉を詰まらせてばかりだ。自分の体が冷えてきたことに気づき、明良を見れば俺よりも寒そうにしている。
早く言えばいいものをバカだな、と思い、近くにあった自販機で暖かい飲み物を買ってきてやった。そして、明良に差し出したとき、ようやく口を開いた。
『景吾はさ?私のことどう思ってる?』
か細い声で言った本人は不安を抱えているかもしれないが俺にしたらそれほど重要なことではなかった。
「そんなことを言うために俺を呼びだしたのか?」
『ッ、……ごめん。』
仕方ねぇな、と文句を言って明良の手を掴むとかなり冷たくなっていた。先に買ったホット缶を繋いでいる手とは反対側の手に持たせた。
「ポケットにでも入れておけ、」
俺を一瞬だけ見るとホット缶を頬に当てて明良は嬉しそうに笑った。俺の足並みにあわせて歩く明良の表情は先のものとは一変していた。
『後でこのココア、半分こして飲もうね!』
「じゃあ、間接キスだな?」
『ちゃ、ちゃんとコップに入れるもん!』
「それは残念、」
暖かい君と手
さっきの質問の答え、わかっただろ?
** END **
2007.11.1(夢コン参加)
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