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逢いたい夜は


“逢いたい”


そう思ったときはいつも夜。

今から会いに行くわけにいかない。

だから、一人寂しく暗くなった空を窓から見てみた。

その時、携帯電話が鳴り響いた。

携帯を手に取ってディスプレイを見ればよく知る番号で、今一番ほしい番号、願っていた番号だった。


『…もしもし?』

「俺だ、」


私は声を聞いただけであなたが誰かわかる。

でも、嬉しさを悟られないように誤魔化すために意地悪して言ってやった。


『俺って誰?』

「ナメてんのか?」

『オレオレ詐欺かな?って…』

「あん?今更、彼氏である俺様の番号を携帯に登録してないって言う気か?」

『すいません、ごめんなさい、』


慌てて謝るとふと静かな笑いが受話器から聞こえた。

それを聞いて安心してる自分がいた。

空白の間の後、ふと思い出した。

なぜ景吾は電話をしてきたのか疑問に思った。


『ところでどうしたの?』

「……今、窓から外見てるだろ?」


そう聞かれて、なんでわかるのか聞き返そうとしたとき、窓から下の道路を見た。


『う、そ…』


そこには優しく微笑みながら両手を広げる景吾がいた。

私はすぐに玄関へと走った。

そう、あなたに逢いたくて。


『逢いたい、って思ってた。』

「奇遇だな、俺もだ。」





逢いたい夜は
迷わず逢いに行けばいいじゃない?





** END **
#2007.10.12



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