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新たな君を求めて


今日の過ごし方は特別決まってない。

いつもの休日は彼氏がデートしよう、と言ってくるのに今日に限ってなにも言ってこなかった。

こんなことってあるんだ。なんだか珍しい。なんて思っていつもよりのんびりと朝を過ごしていた。

でも、たまには一人でのんびり買い物をするのもいいかもしれないと思ったから朝食をとってから買い物に出掛けてみることにした。


『(やっぱ、日曜日の電車は混むね。)』


電車に乗り込んだはいいけど、すごい人だったり。休日だから通勤ラッシュ時ほどではないとはいうものの、身動きは取れないでいる。

ふと視界に入ったのは隣にいる小学生くらいの男の子だった。この子はこの休日にどこへ行くのだろう?なんて思って見ていた。


『!』


一人だからと安心していたのかもしれない。車両のドアに体を向けて立っていて、人に背を向けていた。


『(まさか…痴漢…?)』


気のせいかもしれないと思っていたけどそれはない。太股に触れた大きな手が上に上にあがっていく。

ミニスカートをはいてきたのが間違いだったか、と今更ながら後悔した。


『っ、』


後ろを振り返ることも恥ずかしさゆえに助けを呼ぶ勇気はない。自分の前の扉が開く駅はまだ先。

耐えるしかないのか、と持っていた鞄をぎゅっと抱き抱えた。


『ひっ!』


バランスをとるのに少し足を開いているのをいいことに下着の上から割れ目をなぞってきた。

声を出してはいけないと思い、俯いて目を固く閉じた。

駅について、反対側の扉が開き、人が入れ代わっている間も容赦なく私の体で遊んでいる。

この痴漢、なんて大胆なんだ!


『ふっ…あ、』


容赦なく攻めてくる手になんで素直に感じているんだろう。大勢の人がいるこの中でなんで興奮してるの?

下着の上から触ることに飽きたのかさらなる刺激を求めて痴漢は下着の中に指を滑り込ませた。


『(やだっ、誰か…!)』


自分の心臓が高鳴っている。体中が熱くなっている。足に力が入らなくてがくがくと震える。さらに自分の秘部から愛液が漏れていることに気づく。

きっと、痴漢は喜んでいるだろう。


『(来なければよかった…!)』


なんでこんなことになっているのか誰か教えてほしい。

どうして今日、雅治はデートしようって言ってくれなかったのか。


『あっ!…あぁっあ、』


その指は私のナカへ滑り込んできた。受け入れたいなんて微塵も思っていないのに溢れる愛液がそれを可能にしたのだ。

ナカに侵入してきた指に自然と反応する身体はその指に激しさを求めて収縮していた。


『も…や、だ。』


身体は受け入れても心だけはそうじゃなくて、矛盾する自分に涙が溢れた。その時だった。


「明良、可愛い。」

『!』


背後から聞こえた聞き慣れた声にハッとして振り向いた。

そこには自分の指を舐めている彼氏――仁王雅治の姿があった。

予想外のことに目眩がした。

艶やかに光る指に纏わり付くそれは間違いなく愛液。つまり、今の今まで私に悪戯していたのは彼だということ。


「痴漢だー!」

『!』

「このお兄ちゃん痴漢だ!」


それまで黙っていた隣にいる男の子が雅治を指差して大声を出したのだ。勇気を出しての一声だったらしい。声が震えていた。

その瞬間、車内の人間が一斉にこちらに冷たい視線を向けたのは言うまでもない。


『ちょ、なに考えてんのよ!』

「痴漢ごっこ。」

『馬鹿じゃないの!?』


小声で怒る私の腕を掴むと雅治はタイミングよく開いた扉から駅のホームへと下りた。

当然、腕を捕まれた私は雅治に続いて電車から下りた。間もなく電車の扉が閉まり、電車が発車した。


「明良がどうするか見たかったんじゃ。悪い悪い。」


怒り一色の私を抱きしめて宥めようとして手を延ばしてきた雅治の腕を叩いて拒否した。思い出すと恐怖ゆえに震える体を両腕で抱え、そっぽ向いた。

その腕の中に収まるつもりなどないのに雅治はそれでも無理矢理抱きしめてきた。


「でも、」

『なによ…』

「可愛かった。」

『別れるわよ。』

「それは困る。まずは明良をどうにかしてやらんといかんし。」

『いい!いらない!』

「遠慮しなさんな。」

『変態!最低!』


それから駅のトイレに私が連れ込まれたのはいうまでもない。





新たな求めて
デートに誘われなかったのはこれか





** END **

20090405

なぜか痴漢夢。
前から書きたかったネタ。
仁王意外にこの役が務まるのはわが家の役者ではいませんから*笑





あきゅろす。
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