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近いはずなのに遠い


好きだった。

親同士が決めたことだったとしても俺は本気だった。

なのに、


「婚約解消…?」

『私といても長太郎になんの利益もないわけだし。』


俺は彼女を見ていたのに明良さんが俺を見ていなかった。

そんなことは知っているさ。


「俺が嫌い?」

『そうは言ってない。』

「なら、俺を好きになれない?」

『そうも言ってない。』


出来ることはしてきたつもりだ。

二人で遊びにも行ったし、ベッドで戯れる日もあった。


『本気になれないの。』

「…明良さん、」


婚約していたから安心していたわけではない。

明良さんは可愛いから、周りにはライバルがいた。

でも、俺じゃダメなんだね。


「明良さんはいつも跡部さんを見てる。」

『っ、…違う!』

「違わなくなんかない。明良さんは俺を見てくれない!」

『長太郎、落ち着いて?』

「落ち着けるわけないだろ!!」


苦しくなるくらい、動揺していた。

冷静ささえ、保てなくなっていた。


「解消はしない。明良さんがなんて言っても。」

『長太郎!!』


駄々をこねたような俺を叱りつけるように言う明良さん。

俺は世話の焼ける年下の幼なじみの延長でしかないと理解した瞬間だった。


『あまり困らせないで、』


ずっと一緒だった。

だから俺が彼女に一番近いんだと思っていたのに――





近いはずなのに遠い
俺の愛に彼女は応えてくれなかった





** END **

2007.11.13



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