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大好きです


暑い夏の道を歩いていても、木陰に向けて静かに吹く風を感じてキラキラ光る川の水を見れば涼しく感じる。

でも暑いのは暑いわけで気持ちに締まりがなくなる。


「今日も暑っちーな?」

『ねー?』

「こんな日に部活なんかしたくねーよ。」


そう呟けば、テニスバカのくせに何言ってんの?と憎まれ口を叩かれた。


「だから、悪いって!」


夏休みだと言うのに部活三昧で明良と過ごす時間がなかなか取れない。

それなのにこんな俺に飽きもせず、コイツは付き合ってくれていた。飽きられたら終わりだからな。


『だぁー!本当に暑い!!』


制服のネクタイをユルユルにして、服をパタパタさせる明良。

暑い暑いと言いながら長い髪を無造作に縛り上げる彼女を横目で見てドキドキする俺。

暑さでいつもより心拍数が上がってだけだ、と言い聞かせて自分を落ち着かせた。


『……あ、ちょうど良いとこに川!』


橋の下に流れる浅く細い川を見つけるなり走っていく明良。

川辺までの土手を一気に走り降りる明良を見ていると転けやしないか、とヒヤヒヤした。

川岸にたどり着くと鞄を川辺に投げ、靴と靴下を脱ぎ捨て、川の中に入った。

足首くらいまでの深さでも流れゆく冷たい水に癒される。


『亮、気持ちいいよ!』


川の縁から少し離れたところから眺めている俺はガキのように無邪気に水で遊ぶ明良の姿が夏の太陽の様に眩しく見えた。


『りょーぉ!』


そんな俺に容赦なく、明良は水をかけてきた。


「冷てーっ!」


明良をみれば悪戯っぽく笑みを浮かべて喜んでいた。挑発してくる彼女に付き合うべく、川に入ることにした。

ガキみたいにはしゃぎ、びしょ濡れになった末、明良はスカートの裾をしぼった。


「始めにかけてきたのは明良だろ?」

『そ、だけど…』

「ま、透けて見えんのがオイシイからいいけど。」


濡れたせいでブラウスが体に張り付き、ピンクのレースのついた下着がうっすらと見えた。


『亮のエッチ!!』

「なにを今更…って、やめろよ!」


いきなり押され、バランスを崩した俺は転ける羽目になった。もちろん明良も道連れにした。

たまにはこんなことをするのも悪くないと思った。


「あーあ、制服どうしてくれんだよ?」

『じゃ、うち来る?』

「………行く、」


たった数分でも、この明良と過ごした貴重な一時を幸せに感じた。


「明良?」

『なに?』

「次の休みは海にでも遊びに行こうな?」

『うん!』


テニスバカな俺を大好きだと言ってくれる明良が俺は大好きだ。例え、少しの時間しか一緒にいられないとしても。





大好きです
休みが跡部の気まぐれ発言によって潰れませんように




** END **

2006.7.31
加筆/2007.9.11(祝0.5企画)



あきゅろす。
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