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友情が壊れる瞬間


ある日のこと、部活が終わって暇を持て余していたときの話。

着替えを終えた跡部が部員の着替えを待ち、部誌を書く私の前の席に腰掛けた。


「てめぇら。いつまでじゃれてんだ。」

「だってジローが!」

「岳人が悪いんじゃん!人のせいにすんなよな!」

「せめて声のボリューム落とせ。」


珍しくご愛用の自分専用ソファーに座らなかった跡部を見て、よほど岳人とジローの帰宅を急かしているように見えた。

私が座るイスはふかふかなソファーに比べたら月とスッポンだから跡部がそんなイスに座ること事態珍しい。

本当に早く帰りたいのかもしれない。


『まだ部誌書き終わってないから急がせなくて平気だよ?』

「は?目障りだから早く帰れ。俺は疲れてるんだ。」

『あー…なら、後しておくし、跡部は先に帰ったら?』

「……」


跡部はわりと部活後、みんなを早く帰宅させようとする。

理由は疲れてるからというけど、私には彼が疲れているようには見えないからよくわからない。


『聞きたかったんだけど、なんでいつも早くみんなを帰そうとするの?』


そう尋ねた言葉に答えたのは跡部ではなく、なぜか岳人だった。


「それは跡部が明良の「岳人!」


自分で答えなかったくせに岳人が答えようとすると制してしまうなんて、なにがしたいんだろう。

最近の跡部はおかしい。

なにがしたいのかわからない。


「跡部さ〜そんなに怒んなって。このままだとそのうち侑士に横からかっさわれる羽目になんぜ?」

「そうだC!」


跡部が眉間にしわを寄せて二人に反論しようと口が開いたとき、着替え終えた忍足がニヤニヤして現れた。


「なんの話や?」

「明良が侑士にさらわれる話。」

「なんやーさらってほしいならそう言いぃや明良。」


話を理解する間もなく、ただ忍足が近づいて来て、焦点が定まらないまでに近づいてきた。

自分で忍足を押し退けようとしたけど、それより早く跡部が動いた。


「明良に気もないくせに近づくな!」

「そんなん跡部にわかるわけないやん。心の内で思ってるかもしれへんし?」

「明良の気持ちも考えろ!」

「そないなこと言うて防衛線張らんくてええねんで?それは明良が決めることやし。」


跡部と忍足の言い合いを見ていた宍戸と長太郎と若がなにも言わずに部室を出ていった。


「で?で?」


ジローが跡部の顔をのぞいて目を輝かせていた。

私からは跡部の表情が見えなかったけど一瞬だけ私を見て唇を噛みしめた。


「明良には「情けねー。自分が傷つかないように防衛線張ってやんの。」


岳人の言葉に跡部は気に障ったのか岳人の胸ぐらを掴んだから見ていられなくてすぐ止めに入った。


『跡部もみんなも!もうやめなよ!』

「るせー!こいつがはっきりしねぇから見ててイライラすんだよ!言えばいいだろうが!俺は明良が好きだって!」

『え…?』

「岳人!」

「いつからそんな自分に甘くなったんだよ!俺はそんな男に付いてテニスしてきたなんてごめんだ!」

「……岳人。」


岳人の言葉に跡部が辛そうに顔を歪ませ、岳人は岳人で辛そうに顔を歪ませていた。

仲が良かった二人の間になにかがあったとしたら、お互いにお互いの気持ちを悟ったのかもしれない。





友情が壊れる瞬間
私が悪いのかもしれない





** END **

2008.6.1
岳人は譲るが跡部は岳人を思うから辛いのだった。
誰夢にすればいいのかわからず*笑




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