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彼に弱い私


寒い寒い冬が来た。

でも、恋人たちにはあたたかい季節なのだ。


『雪でも降りそう、』


デートの約束をした私は待ち合わせ場所でかれこれ30分待っている。

自分の吐いた息で手を温めてみたけど、それも虚しくあっという間に寒くなった。

寒さに耐えることも限界だし、待ちくたびれた私は彼に催促のメールを打つことにした。

完全に体が冷えていて思い通りに指が動かないことをもどかしく思った。


『…寒い。』


携帯を閉じて間もなく返事が来た。


『もう着く、だけかい!』


待たせておいてそれはないんじゃない?なんて思った。

せめて遅刻したことの謝罪と言い訳くらい聞かせてほしかった。


『景吾のバーカ。』


しばらく待っていると人が行き交う中、どこからか私の名前を呼ぶ彼の声が聞こえた。

この時の私の反応は早かったな。


「明良悪い!待たせた。」


先の文句もあり、会ってまず初めに謝ってくれた彼を許す以外に方法はなくて。

私を抱きしめてくれた彼に怒ることもできなくて悔しくなる。


『暖めてくれるなら許す。』


だから、私を待たせた代償を可愛い子ぶって求めてみた。


「ご希望通りに施しますよ、お姫様?」


けど、一枚上手な彼は妖艶(ようえん)に笑うだけ。

こんなに彼を好きなんて、なんか悔しい。


『言い方がやらしい。』

「あ?明良が暖めて欲しい、って言ったんだろうが。」

『景吾のバカ。バカバカバカ。』


私には彼に効果がない悪態をつくしか、選択肢がないのはなぜ?

そんな私を見て喜んでる彼氏はどういう神経してるの?とか思いながら顔が火照るのはなんで?





彼に弱い私
どうしようもなく好きなんだね





** END **
2007.11.12〜



あきゅろす。
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