春色恋愛模様
卒業式に大好きだった先輩に告白した、その結果、失恋。
悲しくて、泣いて泣いて泣きまくった結果、当たり前だけど目が腫れぼったくなった。
そんな自分を鏡で見て、情けなく思うのもイヤだから鏡には布を被せた。
『ついてない。』
水分だけは取ってるけど、ショックで喉がご飯を通さない。
中学三年生になるまでのちょっとした休みになにもすることがなくて憂鬱だ。
春の日差しや恋の季節に鳥たちが綺麗に歌う声が鬱陶しいし。
部屋に閉じこもりきりでただでさえ湿気た空気なのにカーテンまでしてあるなんてカビとキノコのお友達になれそう。
「おーい明良、元気しとるか?」
『うわっ!ちょっ!ノックぐらいしてよ侑士!』
「悪い悪い。って、湿気多すぎやこの部屋!」
急にマンション隣の住人である忍足侑士が部屋に入ってきた。
たぶんお母さんが家にあげたんだろう。
「ちゃちゃっと支度してな?」
『え?』
「着替えたら出てきてや?出てくるまで待ってるからな!」
侑士はそう念を押してから部屋を出ていった。
訳も分からず、とりあえず部屋着から着替えようとタンスをあけると衣替えしおていたタンスからは春に合う淡い色のワンピースが出てきた。
それを着てカーディガンを羽織ってみた。
言われたとおり、部屋の外に出たがそこにはお母さんがいて、聞けば侑士は外にいるとか。
『もー!なんなのよ!!』
半分苛立ちながら侑士の待つ外に来た。
文句の一つでも言ってやろうと彼の名前を呼ぶとこちらに気づき、力なく笑った。
「湿気たとこにおったらいつまでも吹っ切れへんからな。太陽さんにご挨拶して、デートしよ。」
『ちょ!なに勝手に!』
「あんな男忘れてまえ。」
手を握って私をリードして歩く侑士の背中を見てるとなんだかこそばかった。
おまけに太陽の光が当たる背中と心が暖かかった。
『侑士、』
「なんやー?」
『ありがとう。』
「どういたしましてや。」
春色恋愛模様
彼の優しさが春の太陽みたいに暖かかった
** END **
#2008.3.20〜
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