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俺には大好きな先輩がいて、毎日アタックしに先輩のところへ足を運んでいる。それも先輩の好きなココアを持って。


「明良せんぱーい!」

『また来たの?』

「またですいませんね!」

『しかも、またココア飲んでるし。あたしが好きなの知ってるでしょ?』


知ってるからこそ飲んでいる。明良先輩が気に留めるように。そうじゃなきゃ、先輩は俺なんか……


「いいっしょ?飲みます?」

『えーやだ。赤也飲んだやつなんか。』

「拒否されたー!軽くショックなんすけど!」


軽い口調で言えるのは俺だからこそ、こんなキャラだからこそ。でもショックはまともに受けてることをきっと明良先輩は知らないんだろうな。


「で?また窓の外見てたそがれてたんすか?」

『またとか言わないで。』

「仁王先輩スか?」

『違う、』


たぶん、いや絶対に明良先輩は仁王先輩が好き。いつも見てるように見えるし。


「仁王先輩なんかやめて俺にしません?」

『だから〜!年下はイヤなの!』

「甘えたがりだから?」

『それ、何度言ったかわからないよ。いい加減諦めたら?』


毎回ふられるのも慣れた。だけど傷つくことにはいつまで経っても慣れやしない。けど、なぜか諦める気にはならなかった。


「世話やけるし、気を使うから疲れるんすよね?」

『うん、』

「じゃあ、世話は焼かさないっスよ!あ、ほら。敬語だとやりにくい〜とかあるんじゃないすか?」

『まぁね?』

「だったらこれから敬語使わねぇ。」

『へー?』

「それだったらいいだろ?俺と付き合ってよ、明良。」


呼び捨てにしたら軽く頭を叩かれた。当たり前だけど。


『バカなんだから、』

「だってそうじゃなきゃ、明良先輩俺と付き合ってくれないしょ?」

『…………だから年下は、』

「年下なんて思わせません!」


そう真剣に明良先輩に迫ったけど目を反らされた。視線は窓の外、恐らく仁王先輩。


『参ったなぁー…』

「なにがスか?」

『ここまで本気だったなんて、』


苦笑しながら俺に視線を向けた明良先輩はどこか嬉しそうだった。


『知ってる?赤也がアタックしに来るようになって今日で100日が経ったの。』

「え?」


仁王先輩は俺が明良先輩をずっと好きだったことを知っていた。相談もしたことある。俺が明良先輩に関して絶対に諦めない、と見越して賭けたんだろう。

あ、だから明良先輩はいつも仁王先輩を見てたのか…?


『ありがとう、赤也。』


そう言って、初めて本当の意味で明良先輩が俺に笑ってくれた気がした。

やべぇ、マジ嬉しいんだけど。





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(ココア、飲みます?)(…飲む。)





** END **

執筆/2007.9.11


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