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携帯電話


久々に部活が休みで、明良は彼氏の忍足家にお邪魔をしていたのだが…

彼女をほったらかしにし、携帯でつまらない会話をしていた。


『………』

「そんなん、放っとけばええやん?」

『……』

「それはないで!?」


楽しそうに何の会話か分からないが、忍足が笑う。

しょうがないので、電話が終わるまで机に置いてあったテニスの雑誌を手に取り、読み始めた。

30分後、電話が終わったのか耳から携帯を離した。


『(構ってもらえる!!)』


雑誌を置き、忍足に近寄ったがカチカチカチカチ、と機械音が続く。

どうやら今度はメールを打ち始めたらしい。


『(あたしより携帯!?)』

「………」


構ってくれない忍足に明良は自分の携帯で、忍足にメールを送る。

すると、忍足の携帯が鳴った。


「なんや?」

『(……ふんだ、)』


メールには“バカ!!”とだけ書いてあった。

むっと顔をした忍足はメールを再び打ち始める。

間もなく明良の携帯が鳴った。

見てみると忍足からであった。

“バカはないで?せめてアホな?”

このメールを見て、腹が立ち明良は立ち上がり、自分の荷物を持って出ようとした。


「ドコ行くん?」


だが、出ていくことを許してもらえず明良の腰には忍足の腕が絡みついていた。


『帰るの!』

「携帯にヤキモチ妬いて?」

『ち、違うもん!!』

「妬いとったくせに、」


クスクスと笑われる。

そんな風に笑われてしまったら負けたような感じがして帰る気も失せてしまい、その場にペタン、と座った。


「妬いとったん?」

『だって、構ってくれないんだもん…』

「ちょっと妬かせたかっただけや、堪忍な?」


謝れるとどんな事でも許してしまうのはきっと、惚れてしまったせいなんだろう。

明良は弱いな、と内心呟いた。


「もう携帯いじらんわ。明良と一緒におるときは。」

『そーしてください!あたしだって久々に来たのに構ってくれないと死んじゃうからね!』


死ぬと言われ慌てて忍足は謝る。

そんなにも必死になってくれるのが嬉しくもあった。

その後、部屋でイチャイチャした二人はベットの中に入り、明良は忍足に抱きしめられながら眠りに就いた。

数時間後、ふっと目が覚めてしまった明良は忍足の寝顔を見て少しだけ笑った。


『いつも大人びた顔してるのに、目を閉じたら子供ね…』


忍足の前髪を優しくかき上げる。

すると、枕元で忍足の携帯が光っているのを発見。

それを手に取った明良の表情は決して良くはなかった。



翌朝、起きた忍足は携帯を見て目を点にした。

そして、明良は大爆笑をしたのであった。





携帯電話
「うわっ!なんでみんなのアドレスが消えてるん?!」
『あたしを構わなかった罰です!』






** END **
#2008.2.26

亜咲 Thanks!



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