10 メッセージ
『私から貴方へ』
“犬も歩けば棒に当たる”と言うことわざを知ってますか?
出しゃばると災難に遭うかもしれない、と言う意味です。
でも逆に何もしないでいると何も得られないと思いませんか?
だから怖がらずにやってみてください。
結果がどうであれ、精一杯行動して棒に当たったとしても100%無駄だったなんて言えないと思いませんか?
少なからず、何か益になるはず。
私は貴方にそう言われたような気がしました。
ある日、私は拾ってくれた飼い主に捨てられ、生きる希望を失いました。
その別れによって途方に暮れた私に貴方は手を差し伸べてくれた。
それがすべてを変えた。
「頑張れ」
そう言われた気がしました。
たくさん乗り越えなければならない問題はありましたが、みんなが支えてくれたから私は今、幸せになれました。
私を愛してくれた友人。
世界で血の繋がった唯一の姉妹。
私を好きになってくれた彼。
そして私を大切にしてくれた貴方。
あの時、みんなに会わなければ私は生き絶えていたかもしれない。
(少しおおげさかな?ううん、そんなことはない。)
だからありがとう。
見捨てられて泣いた夜もありました。
裏切られて涙を流した夜もあって…
寂しさから逃げ惑う日など数え切れないくらいありました。
でも愛された日々を思い出せば苦になりません。
でも当時は必死だので私を好きになってくれて、私が好きだった彼のことを考えていました。
出ていってしまった彼の帰りを玄関で何十分も何時間も待ち続けた結果、力つきました。
そんな時、「がんばりすぎだぜ?」と苦笑しながら隣にいてくれたのは貴方でした。
彼を背中に乗せ、色のない空へ羽ばたいていった大きな鳥が帰ってくるのをただ見上げ、待ち続けるのも疲れ果てました。
そんな時、「まだ帰らないな?」と傍で一緒に空を見上げてくれたのは貴方でした。
貴方はただ、私を世話してくれるの飼い主と言う名の飼育員だと思っていました。
(彼は私に愛情を注ぐ飼育員?笑)
しかし、その考えはその時に終わりました。
『あぁ、大切にしてくれてるんだな』
そう感じたのです。
それから貴方への見方が少し変わりました。
貴方はなにを考えてるんだろう?と考えるようになっていて、貴方を目で追うようになりました。
貴方には空が青く見えて、
(私が見る空は白黒なのに)
私より色のない空に近くて、
(背が大きいから)
いつも前を見て歩いていて、
(私はアスファルトを見て歩く)
私にはわからないことを理解して、
(バイトとか言ってたかな?)
私が出来ないことが出来て、
(ビスケットが入った瓶は開けられない)
すべてが格好良くて羨ましく思えた。
憧れの気持ちが大きくなっていくと、気づいたときには恋心を抱いていた。
『大好き』そう心の中で言って貴方からの抱擁に尻尾を振って応える私。
そんな関係でいてもずっと続くと感じていた。
しかし、大好きな彼を乗せた大きな鳥が帰ってくると気持ちは揺れた。
良く考えて悩んだ結果、私は彼を捨て貴方を選びました。
その時、私も人間と同じなんだなって思いました。
“人間とは違う”と思っていたのは錯覚だったのかもしれません。
「好きな人が出来たから、さよなら」
そう呆気なく別れを告げる冷たい人間と同じだったんだと気づきました。
そんな身勝手な人間にはなりたくないと感じていたのに愕然としました。
自分が憎く思えました。
数年後彼と再会したとき、私は貴方と幸せになっていました。
そして、彼は違う人と幸せになっていました。
しかし、彼は今も変わらず私を好きでいてくれます。
私は出しゃばったから棒に当たったかもしれません。
しかし、自分が幸せになるには災難も乗り切りれるよう全力を尽くしました。
結果、私は貴方と幸せになれた。
だから棒に当たったことを後悔してません。
それは人生において、ほんの一瞬にすぎないからです。
もし私があのとき、なにもしなければなにも得られなかったでしょう。
精一杯行動して無駄だったと思えたのは一瞬たりともありませんでした。
そう教えてくれたのは貴方だけだから、貴方に恩を返したい。
どうすればいい?
そう聞けば貴方は「自分で考えろ」って言うかもしれない。
だからこれが私の答えです。
すべての人に負けないくらい貴方ともっと幸せになりたい。
なぜなら貴方を愛しているから。
――宍戸リョウ
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