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6 メッセージ



『僕から君へ』



人間なんて嫌いだ。

それも“大”が付くくらいね。


身勝手で、

すぐ文句を言い、

平気で嘘をつくから。


恋人に“大好き”と言っているのをたまたま散歩中に聞いた。

その言葉ばかりで相手は聞きあきないのかな?

それ、どこまで信じていいの?

全部かな?

でもいつか涙を流す日がくるって考えてないでしょ?

だって、男の人の服からは別の甘い香水のニオイがするもの。

(あぁ、人間って残酷だ)

それに気づかない女の人は余程嗅覚が衰えているに違いない!なんて思う私。



人間を観察していると笑えるよ。

知能はたけているのになんでかな?

当てにならないのに迷信だとか占いだとか信じるなんて。


花びらを一枚ずつちぎって好きと嫌いを繰り返していき、最後の花びらが好きか嫌いで相手の気持ちがわかる。

それは花が可哀想じゃない?

だってお花も精一杯生きてるんだもん。

て、それで相手の気持ちが分かればすべての人は失恋しないんじゃない?


大好きな人に告白しようと決めていたその日、占いで“ラッキーアイテムはマヨネーズ”とか言われたら告白する時にマヨネーズ持っていくの?

それは本当にラッキーアイテム?

だってそれは幸せを呼ぶアイテムと言われるには見た目、味ともにほど遠いよ?



人間を見ていると足りないと感じるよ。

みんな当たり前に生きているけど、すべては神様からの贈り物なんだよ?


人間は空が何色か知ってる。

でも、犬には空の色が何色か見えないからわからない。

人間はおいしいものをたくさん食べる。

でも、犬はドックフードしか食べさせてもらえない。

(たまにくれるおやつが楽しみv)

人間は自由に歩けるじゃない?

犬は鎖に繋がれている。

歩かせてもらえたと思えばリードで繋がれてるもんね。


君たちは自分たちが僕ら犬よりもずっと“幸せ”だってこと忘れてない?


愛する人が傍にいて、

愛し合って、

笑い合って、

怒り合って、

ケンカして、

後悔した時にはハンカチで涙を拭い合う。


そんな楽しみ、犬にはないんだよ?

(いいなぁ、羨ましい)


そんなことを文句も言わずに見ている僕はお利口さん。

(口にしないだけでわがままだけどね)

“待て”と言われれば、待ってることだって出来る。

(だって待たないと君は怒るもん)

我慢も―…多少は出来る。

(ご飯を前にすると首が伸びるけどね)


犬に命令して王様気分を味わう人間は子供みたい。

(人間界でそんなゲームがあるらしいけど)

自己中な王様(人間)は嫌いだ。


でも、バカみたいに必死で僕を愛してくれる君だけは違うと信じてる。


だから仕事ばかりしてないで?

僕にかまって?

たまにある休日のうち、ほんのわずかな時間の抱擁じゃ足りないの。

“行ってきます”と言って頭を撫でられるだけじゃ足りないの。

ただ布団を暖める湯たんぽ代わりにはなりたくないの。


だけど、わがままは言わない。

君と一緒にいられるだけで幸せだから。

君を思うだけで幸せでいられるから。


小さな僕が君に出来ることは君の帰りをただ今か今か、とドアを見て待つこと。


だから、少しでもはやく帰ってきて?

僕を愛してください。



それは君だけの特権だから。

愛してる、マイダーリン!


――仁王 こもも
























景吾はこももが綴った“愛してください”というメッセージを受け取った。





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