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act.140『SECOND LOVE』
(こもも視点)


ある日の午後。

使用人さんたちが庭で子供たちを遊ばせてる間に――


「っ、は…あっ!」

「いつの間に…そ、んなにエロくなりやがったんだこもも。」

「ふっ、ん…あぁん、」


ベッドの中でイチャイチャしていました。

なんて不謹慎な親なんだ。


「こもも…!」

「ああ――!!」


久々に感じた景ちゃんに呆気なくこももは果ててしまった。

なぜこんなことになったかというと、どこかぎこちない彼にどうしたのかしつこく問い尋ねたからお仕置きされたのだ。

情けない。


「こもも、」

「ん?なに?」


声をかけてきたくせにこももが返事してからなにも言ってこない。

怪しい。


「どうしたの?」


景ちゃんはパンツとズボンをはいて立ち上がると鍵がかかっていたクローゼットに近づく。

ズボンのポケットからシルバーの鍵を取り出して言った。


「ウェディングドレス、着る気はないか?」


鍵を差し込んで90度に回すとカチャンと錠が開く音がした。

両手でクローゼットの扉を開けるとそこには――


「景ちゃん…」


純白のウェディングドレスがあった。

絶句していると彼は再度口を開く。


「5秒以内にここにこないとプロポーズしてやらねぇ。」

「え!?」

「5、」

「待ってよ!」

「4、」


待つ気は更々ないのかカウントは続く。

なにも身にまとっていないこももは床に落ちていた服をかき集め、それで身を隠して走った。


「2、1、……セーフでよかったな。」

「あのねぇ!?」


文句の一つでも言ってやりたかったけど景ちゃんはこももの唇に人差し指で軽く触れた。


「正式なものには出来ないが、結婚しないか?」

「……どうしてそう思ったの?」


彼はこももを優しく抱きしめて耳元で囁いた。

その言葉に一瞬で全身が熱を帯びた感じがして、脳が痺れたような感覚に陥る。


「愛してるから、」

「景ちゃん…」

「誰にも渡したくねぇ。」


そう言ってくれた彼に一つだけ尋ねることにした。

それは二人の間だけの誓いとなる――


「Love me,love my dog.Can you follow these words?
(私を愛してるなら犬も愛して。あなたはこの言葉を守れますか?)」


アメリカにいたあなたになら通じるはず、と思った。

期待通りの反応だった。

彼は不適に笑って答えた。


「Of course. Because I love all of you.
(もちろん。俺はおまえのすべてを愛しているんだから。)」


シルバーの冷たい指輪が左手薬指を滑っていった。

景ちゃんは左手を両手で包み、指輪が暖まったころ、それにキスを落とした。


「景ちゃんのは?」

「俺は本番でいい。」

「ちょ!ずるいよー!!」


Love me,love my dog.

アメリカでは有名なことわざで直訳すると“私を愛してるなら犬も愛して”となる。

しかし、副次的な意味として“犬”は友や欠点、悪い癖などを示す。

景ちゃんはこもものすべてを愛してくれると誓ってくれた。


「あ、でも犬になったこももは理解できないから愛せないかもな。」

「いらない心配しないでよ!」


あなたがいて、あなたに出会えて、喧嘩して、笑い合って、涙を拭い合って、愛し合えたからわかった。

犬より人間はなんて幸せなんだろう。


人間でよかった、と犬から逸脱した仁王こももは心から思った。





SECOND LOVE
幸せになれたから私たちは今、笑ってる





** END **



あきゅろす。
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