act.121『謎解き』
(仁王視点)
開園時間になったがこももが出てくる気配は全くない。
不安が募り、探しに行くことにした。
「待て待てぃ!入場料払わなきゃならねぇんじゃねーのか?」
「げっ。俺、今細かい金ないっス。」
「平気じゃ。関係者に話してくるきに。」
ボディガードと偽り、ブンと真田、赤也を連れてすぐに関係者に話をつけた。
“gin-N”の社員身分証明書を見せ、モデルが遊園地に行ったきり戻らないことを伝えた。
それを聞いた遊園地側は特別に入園を許可してくれた。
「大事(おおごと)には出来んから一人この場に残したほうがいいぞ仁王。」
「んじゃ、俺が残るわ。比呂士にも連絡しとくし、」
遊園地側には内密にと言ったが情報は漏れるだろう。
それもあってブンを残し、俺ら三人でこももを探しにかかった。
「こももさんの携帯を鳴らせばどうっスか?」
「これだけ音楽や機械が動いていたらわからん。」
「GPSでこんな細かいところまでわかります?」
「デカいのはデカいがあまり有名な遊園地でもなか。園内のナビを携帯がしてくれるとは思えんしのう。」
唇を噛み、良い案はないか考えたが地道に探すしか方法はなさそうだ。
そう思ったとき、携帯が着信した。
相手はブンだった。
「はい、」
「あ、仁王?こももの居場所わかったってよ!」
「どういうことじゃ?」
「話は後だっつの!メリーゴーランド付近だってよ!」
「すぐに行く、」
なぜブンがこももの居場所が分かったのかわからないが言われたとおり、メリーゴーランド付近に来た。
「なんでわかったんスか?」
「さぁな、」
腑に落ちないまま、手分けしてこももを探した。
捜索開始から間もなく、赤也が芝生の上に横たわるこももを発見した。
「こももさん!」
「こもも!運ぶぞ、」
「体冷えてんじゃんかよ!」
赤也がパーカーをこももに被せ、真田が抱き上げた。
すると手からするりと落ちたシルバーチェーンに赤也が気づく。
「んだこれ?ネックレス?つか、こももさんの落とし物ってこれ?」
一方、俺は開いたまま落ちとう不自然な携帯を手にした。
「(通話中、)」
終話ボタンを押すと通話時間は3時間となっていた。
着信・発信履歴をチェックして理解した。
「なるほどね、」
すると怒りがこみ上げた。
こももがなにを理由にこの園内に再び戻ったのかはわからん。
じゃけ、理由に“コイツ”が絡んでると理解すると真田たちと出口へ向かった。
そこにはブンと柳生以外にある人物もいた。
「…仁王、悪い。」
そう言ったのは跡部だった。
俺はなにも聞かずに殴り飛ばした。
「に、仁王くん!」
「なんてことしてくれたんじゃ!?こももは「仁王!!」
それに対し、落ち着け、と必死にブンが俺を止めた。
確かにこんなことをしてこももがよろこぶとは思えなかった。
「……チッ、」
今はこもものことが優先だ、と自分に言い聞かせ、仕方なくこももの元へ向かった。
「とりあえず仁王くん。こももさんはうちで預かります。まずは体を暖めなければ、」
「つか、人が集まる前にちゃっちゃと退散しません?」
赤也が跡部からさらに俺を遠ざけるとブンがなぜか跡部に謝っていた。
謝る必要なんかないじゃろうに。
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