act.54…特別な夜※ 結果、妊娠しなかったから良かったがそのとき、自分がコンドームをしていないことに気づきもしなかった。 それだけ目の前の蓬莱に夢中だったのだろう。 「怖いか?」 『少し。でも…景吾が一緒だし、』 そう聞いて安心した。 俺は蓬莱にキスをし、気が緩んだ隙に自身を挿入た。 『っ!』 半端なく狭いナカに俺はもちろんだが蓬莱も苦しんだだろう。 呼吸からして、かなり力が入っていると感じた。 「少し我慢しろよ、」 始めの方は痛いだろう。 慣れるまでは仕方ないと自分に言い聞かせ、律動を開始した。 痛さ故に声を上げる彼女を見ていると申し訳なく思った。 しかし、それも初めだけ。 『あぁ!』 少し余裕が出てきた頃、彼女の声に甘みと艶が戻った。 接合部が熱く、張り裂けそうと蓬莱は言っていた。 それは痛いはずだ。 「可愛いじゃねーか、蓬莱…」 そう耳元で囁いた。 俺の吐息混じりの言葉を感じたのか身震いを一つ、それと同時にナカがしまった。 もう、なにがなんだかわからないまでに彼女を乱したくなった。 「蓬莱…もっと鳴いてみろ。」 理性が吹っ飛んだ。 蓬莱に嫌われたら――そんなことを考える余裕さえなかった。 『あぁ!あっ、あっ、あぁ、ん!』 蓬莱の声がかすれても俺はその声にさえ、欲を高めた。 もうダメ、と途切れ途切れに言う蓬莱に応じ、律動を早めていった。 喘ぐその声も連鎖していく。 『わ、たし…変!』 「変じゃね、ぇよ。俺を、求め…た証拠だ。」 『―――っ!』 締め付けが最高に達した際、彼女の体は俺の精液を求めた。 だから望み通り、ナカにぶちまけた。 「やべぇ…」 こんなに良い女、そう滅多にいたもんじゃない。 そう改めて感じた。 「血は出なかったのか…」 結合部からは二人の混じった液が流れたがそれに血は混じっていなかった。 スポーツマンだからか、と頭の隅で考えて安心していた。 「蓬莱、俺…」 疲れきって眠りについた彼女の髪をひと撫でしてから額に唇を寄せた。 「おまえがたまらなく好きだ。」 初めて告白した自分の思い。 だが、彼女の耳に届きはしなかった。 「ユエ!」 「お呼びでしょうか?」 脱衣所の外に声をかけると中村はすぐに来た。 電気を消したのはコイツ以外にいないと確信した瞬間だった。 「寝室を整えろ。」 「ご一緒なさいますか?」 ニヤニヤと笑いながらそう言われ、腹がたった。 奴の思い通りなんかにしないと思ったが蓬莱が目覚めたとき、やはりそばにいてやりたいと思う気持ちが勝(まさ)ってしまった。 「あぁ、頼む。」 「承知いたしました。」 結局、自制出来ずに蓬莱と一線を越えたその夜、まともに寝られなかった。 嬉しくて、と言えば聞こえがいいかもしれない。 → |