act.53…緊張※
肝心なことを聞きそびれていた。
しかし、俺がそれと気付かなかったのは未熟だったからだろう。
「……蓬莱、」
彼女の冷たくなっているであろう唇を求めて声を発したつもりだ。
それに応えてかはわからないが蓬莱が顔をあげ、自然と唇と唇が重なった。
ただ触れるだけのキスでは満足できず、後頭部を支えて何度もキスをした。
苦しくて彼女の顔がしかめても、解放を許さなかった。
自分が満足したとき、唇を放した。
蓬莱は早く酸素を取り入れたいであろうが俺の胸に額をつけ、俯いたままゆっくり呼吸をしていた。
その間、髪を優しく撫でていると彼女は何も言わずに抱きついてきた。
「蓬莱、俺…」
少し蓬莱を引き離し、首に手を添え、ゆっくりと手を滑らせた。
バスタオルを引っ張った。
もう我慢も限界だ。
『け…！』
「我慢できねぇ、」
『っ、』
首筋に顔を寄せ、キツく吸い付いた。
また、鎖骨付近にも…。
すると助けを求めるように声を上げた。
体を強ばらせているところを見るとこういうことに慣れていないのだろう。
「……初めてか？」
なにも答えない彼女を馬鹿にする気はない。ただ、身をゆだねてくれるように促すだけだ。
「優しくする、」
それだけ言い、蓬莱を床に寝かせた。
膨らむ胸の頂には刺激を受けてピンと天に向けて起つ飾りがあった。
やわやわと胸を触っていたがその飾りもいじりたくなり、つまみ上げた。
『あっ、』
発した自分の甘い声に驚いたらしく、口を両手で塞いでいた。
しかし、俺はその手を退かした。
「聞かせろよ、その声。すげぇそそられる。」
『恥ずかしい…』
「蓬莱の声を聞く度に俺の欲が募ること知らねぇのか？」
『でも、』
「まぁ、そのうち羞恥心さえ忘れて乱れる。」
そう伝え、胸をいじることに専念した。
飾りを口に含み、吸ったり、あまがみしたり。
その度に初々しく反応してくれる蓬莱に自身の限界は近づく。
下の口を整えるべく、俺は脚を少し開かせていた。
『や！』
脚を閉じようとした蓬莱だが俺はそれを許さなかった。
そのとき、停電かわからないが電気が消えた。
タイミングが良い、なんて思ったがふと思い浮かんだのは中村の頑張って、という一言だった。
もしかするとアイツが消したのかもしれない。
「見えねぇんだからいいだろ？」
脚をさらに開かせ、脚を閉じないように体を脚の間に割り込ませた。
そして、ゆっくりと指を割れ目に滑らせた。
するとヌルッとしたものを感じた。
「初めてにしちゃ、やる気満々じゃねーかよ。」
溢れかえる愛液にうれしくなる。
それだけ俺を感じてくれた証拠だからだ。
「今更だけどよ？」
『…なに？』
「蓬莱の処女、俺がもらっていいのか？」
『今更じゃない…』
緊張しているのか、声が震えていた。
キスをして、心の準備をするように言った。
「俺を信じろ、」
『うん…』
蓬莱の腕を俺の首にかけ、自身をあてがい、先を十分に濡らす。
クチャクチュといやらしい音を立てて、今――二人が繋がる寸前の遊びとして楽しんだ。
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