act.1…いつもと同じ日常
彼女、米倉蓬莱と出会って10年。
欲の塊だった俺が人を愛することを学んで約10年が経つ。
時の流れってのは早いもんだ。
俺の名は跡部景吾。
今はアメリカに住んでプロのテニスプレーヤーとして活躍している。
しっかりその注目度をチェックしとけよ。
キミは生きた
俺はその証人
俺は中等部まで氷帝学園で過ごしていたが姉妹校である栄祥学園は氷帝学園より専門科が多く、レベルが高いために高等部にあがる春、転入という形をとった。
姉妹校なだけあり、氷帝学園と近く、また顔見知りばかりだから気が楽は楽だ。
そして、家が電気屋である向日岳人は電気工業科を受けるため、俺と一緒に栄祥へ来た。
残念ながら岳人のパートナーに当たる忍足は氷帝に医学科があるため、氷帝に残ることになった。
「一年生になったら〜友達100人できるかな?」
「ガキ臭い歌やのう。向日じゃから可愛げあるんじゃろうけど、」
「お?仁王ー!」
「よう、おはようさん。」
仁王雅治は神奈川の立海大からわざわざ商業科に入るために転入してきた。
すると相方がいない岳人は仁王を新しい相方にすべく、すぐに仲良くなろうとしていた。
忍足は自分のポジションを仁王にとられたと悔しがっていたな。
「仁王みたいな怪しい人間についてったらアカン!って忍足に言われてただろうが、忘れたのか?」
「仁王は怪しくないぜ?」
仁王の背に飛び乗った岳人はあめ玉を貰い喜んでいた。
最近、岳人が誰かと被る。
それだけなら未だしも、男気がなくなった気がするのは俺だけか?
「(忍足、俺は一応おまえの頼みごと聞いてやったからな?)」
忍足から岳人に変な虫がつかないように見張れ、と言われたがあれは女(ファン)の話だったのか?
確か岳人には親が決めた許嫁(いいなずけ)がいたはずだからそれを言い触らせば、なんら問題はないな。
簡単でいい方法だ。
「おい仁王、岳人は丸井じゃねぇんだ。」
「じゃけ、ブンと同じように扱ってもコイツ喜びよる、」
「岳人、この場に忍足がいたら怒られるぜ?」
「今、侑士いねーもん。」
この顔だから男からも可愛がられるんだ、と内心悪態ついたのは内緒だ。
「じゃ、俺は帰るぜ?」
「テニスして行かんの?」
「氷帝行かねぇの?」
「明日行く、」
テニスに集中している仁王と岳人に別れを告げ、夕方に街へ出るために帰宅した。
女と会う約束をしていたのだ。
いつしかテニスバカというより、年頃な男になってしまったらしい。
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