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act.10…まるで子供



仁王と岳人の二人を見て蓬莱は疑問符を浮かべ、友達か尋ねてきた。

それに対し、俺が答える前になぜか岳人が答えた。


「友達以上の関係だぜ!」

「岳人!誤解を生むような言い回しすんな!」

「はいはい、落ちつきんしゃい。俺らは幼なじみ兼、親友じゃけ。」


内心、仁王は幼なじみじゃないだろうが、なんて悪態をついたのは内緒だ。


『親友かぁ。なんかいいね!あ、私は米倉蓬莱です。』

「知ってるー!」


テレビで見たもん。

そう言った岳人はまるで子供のようだった。


「俺は向日岳人、よろしく!」

『うん、岳人くんね?よろしく。』

「俺は仁王雅治じゃ。」

『仁王雅治?あなたもしかして、佳梨って子知ってる!?』

「知ってるもなにも、アイツとは腐れ縁じゃけえ。」


目の前の展開に目を白黒させる俺と岳人は知らぬ内容に黙って二人の会話を聞くしかなかった。


『やっぱり!佳梨がよく“仁王くん仁王くん”って言うから…』

「佳梨にぃと知り合いなん?」

『うん、後輩だよ。』

「後輩?ならここ(栄祥学園)の出なんか?」

『うん。それにテニス部だったよ。』

「へー?」


また佳梨の話で盛り上がりつつある二人を横目にその場で着替え始めると仁王が俺に気づいた。

仁王は人の好きなヤツを奪い取ったりするようなヤツじゃない。

(むしろ、そういうことをするのは俺の方だ。)


「蝶は跡部とテニスするんじゃろ?」

『あ、うん。』

「…蝶?なに蝶って?」

「向日知らんのか?米倉蓬莱はコートで舞う蝶と呼ばれちょるんよ。」

「へー…確かに試合見てたら納得がいくな。」


彼女のテニスは華麗、つまり華やかで美しいものだった。

蝶――女にしたら嬉しい称号だろう。


『ありがとう。私もまだまだなんだけどね。』

「こないだで大会6連覇したくせになに言うとう?」


再会できて気持ちは一層高まった。

だが、例え、友達の域でも仁王と話しが合うなんて展開には納得がいかなかった。

俺はなんてガキなんだろう、と思った。

好きなおもちゃを取られて機嫌を損ねる子供みたいだった。





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