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act-04 丸井ブン太

【食べたい】


自ら根詰めて勉学に勤しむ私を誰も邪魔しようとは思わないみたい。

珍しく自室が静かだ。


『あー!疲れた…』


今まで握りしめていたペンを机の上に解放してあげる。するとペンは機嫌良さそうにコロコロと音を立てて自由を満喫しているようだった。

一方、自分の手はと言うとかなりお疲れの様子で汗ばんでいた。

精神的にも疲れた、と感じたため、机の上にあるベルを鳴らしてベッドへダイブした。


「ティータイムかー?」

『疲れたから甘いのね。』

「うぃーっス。」


廊下で待機していたのは時計を見てお呼びがかかるのを心待ちにしていた執事だ。

自分が活躍する機会はティータイムだけだと弁えているからだ。

間もなく用意を整えたであろう執事が現れた。


「結菜お嬢ー」

『その呼び方やめなさいよ。切原もお嬢言うんだよ、』

「お嬢様って柄じゃねーんだもん。」


それは丸井ブン太だ。

それにしてもなんとも遠慮のない発言だろうか。仮にも主に対してなんだ。


『それより早く支度しなさい。』

「はいは〜い、」


指示を促すと丸井は面倒臭そうにサイドテーブルを整えた。

執事。それでいて整え終わるとベッドに寝転んだ。


『丸井ー?』

「いーじゃんかよーケチケチすんな〜」


ケチケチ以前の問題だと思うがこれが丸井なのだ。マイペースかつ自由。

気心痴れた相手なら余計そうなのかもしれない。


「うまい?」

『うん。丸井が作るお菓子は売り物になるほどの品だわ。』

「お、よかったー。結菜に褒められるとやる気出るってもんよ。」


調子のいいことを言ってヘラヘラ笑ってる様は見ていて気持ちがいいものではないけども。

丸井だから、で済ましてる辺り私はどうかしてるかも。


「俺も食いてー」


私のおやつを見て羨ましそうにしている丸井を不思議に思った。

だって、この図々しい丸井なら自分の分のおやつを取り分けているはずだからだ。


『持ってきて食べればいいじゃない。』


そうバカにしたように言うと丸井は目の前にあるんだけどな、と返答してきた。

自分の分と主の分を混ぜて持ってくるとはまた面倒な。

何個食べた、とか食べてないといった感じのくだらないやり取りをすることになるからだ。


『なら食べなさい?』

「んじゃ、お許しが出たんで遠慮なくー」


と言うのと私が押し倒されたのはほとんど同時だった。

見ていた景色が反転したことに目眩がした。


『なにしてんのよ?』

「なにってお許しが出たし、とりあえず押し倒してみた。悪い?」

『あんた、今とんでもないことしてる自覚あるの?』

「…ないね。赤也だって仁王だって、白石だってしてんだろ?なら俺が責められる理由もない。――だろ?」


そう同意を求められても同意するわけがない。

それに丸井に迫られてもどうも危機感を感じない。


「そのカラダに聞いてやりてぇことあんのよ俺は、」

『主をなんだと思ってるの?』

「じゃあなに。ご主人様、どうか俺にそのカラダを預けてください。とでも言えっていうのか?」

『そうじゃなくて。私は丸井にお菓子を食べてもいい、と承諾したんだけど!』

「目の前にあるの、間違いなく菓子だぜぃ?」


私の唇をぺろりと舐めた彼の行動に身体が小さく反応した。

悔しいが今まで三人にしつけられたカラダは素直過ぎるまでに変革させられていた。


「なぁ、俺にも教えろぃ。」

『なにを…』

「結菜がどんな甘い声で鳴いて、どんな甘い味がするのか、」

『!』


服の中に手が滑り込み、わざと煽るように触れるか触れないかくらいの優しい手つきで触れてきた。

そして服をめくられる。

すぐに抵抗して服を持ち上げる手を退かそうとするがうまくいかない。


『丸井!』

「んだよ。邪魔すんな。」


退けようとしていた手を退けられ、私の服は完全に持ち上げられた。

下着を拝見してもらう趣味はないのだけど、と強い口調で言うが丸井には通用しなかった。


「俺はあるぜぃ?結菜の下着がどんなんなのかーとか、結菜の胸はどれだけ柔らかいのかーとか。」

『変態!』

「なに恥じらってんだよ今更。」


ブラジャーをマジマジ見ていた丸井はニヤリと笑うとそれを持ち上げた。


『やっ!』

「ぷっ、可っ愛いー」


持ち上げられた下着のせいで胸が張った。

それを面白がるようにプニプニと突いてくる。ついでにその頂きも。


「んじゃ、味見タイムといきますかー」


わざとらしく報告してくるなり、胸の頂きにキスをして一舐めしてきた。

そのじれったさに身をよじらせた。

しかし次の瞬間、胸がひやりと冷たさを感じ、一層胸の突起が固くなったのを自分自身で感じた。


「俺がトーストに生クリーム塗るのが好きなのもちろん知ってるよな?」

『まさか…!』


今、胸で感じた冷たさは生クリーム?

冗談じゃない!

そんなプレイ、望んでない!


「んーうめぇー!結菜最高ー!」


生クリームが載せられた胸をキャンディーを舐めるようにして舐めてくる丸井に憤ることさえ忘れていた。

私は快感の波に煽られていた。


『はぁ、はぁ…っ、』

「…苦しい?」

『当たり前、でしょ…!』


なら早くみんなにしたようにねだってこいよ、と目が語っていた。

その瞳には妖しさが伴っていた。


『丸井…我慢っ、出来ない!』

「ご希望通りにいたします、お嬢様。」


笑いを堪えながら、わざとらしくそう言うと着ていた服を一つずつ脱がしては床に投げ捨てていった。


「まずなにしてほしい?指入れてほしい?それとも舐めてほしい?」

『な、んでもいいわよ。』

「じゃあ、ご賞味させていただきまーす。」


グッと両足を大きく開かされ、恥ずかしさから足を閉じようと軽く抵抗する。

それが本気の抵抗ではない、とわかる丸井はやめようとはしなかった。

そのまま秘部に顔を埋めた。


『んんっ!』


過度に反応した私を見て丸井は執拗に突起物を相手にしてくる。

そんなところ、普通は舐めたりしない、と制止させようとするが口から発せられる言葉はすべて吐息が混じり、丸井を誘惑するには最高なものだっただろう。

限界を感じ始めたのか、丸井は性急に服を脱ぎ捨てた。


「あーもう無理!早く、結菜といい夢見てぇ!」


そして私のナカへと進んできた。

私はいつ帰宅してもいいように支度を整えて待ち侘びる新妻のようですんなりと彼を受け止めた。


『ま、るい…ぃっ!』

「これは絶対クセになるぜぃ、」

『はっ、んっ!…あ、ひあっ、』

「やべぇ…マジやべっ、」


共に快感に襲われて狂ったように踊り続けた。

私は丸井を求め、彼は私を求めた。

お陰で疲れ果ててしまった。


「…食いちぎられるかと思ったぜぃ?」

『バカ言わないで!』


お互い夕食を食べることなく眠りつづけたぐらいだった。

丸井は満足したらしく、ベッドの上にいて上機嫌で私の胸を柔柔と触っていた。


「セックス、またしようぜぃ?」

『……』

「気持ちよかったろ?生クリームプレイ。」

『あんたはただの変態だ!』


私はまた、きっと、彼を求めて快感の中を浮遊する。

どうしようもない最低な女に成り下がったものだわ。





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