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act-03 切原赤也

【性稽古】


――稽古の時間。

切原赤也という稽古係の執事と道場にいた時の話。


『胴着の下になんでTシャツ着なきゃならないんだろう?面倒だし、ぶ厚いし、摩擦があるから動きにくい。』

「んなもん見えないようにに決まってんじゃん。」

『なんでお相撲さんに女の人がいないの?』

「あのなぁ…下はいいとして上はどうすんだよ。」

『下着?』

「んな相撲取りがいるかよ。」


最近感じることがある。女の人は不便だということ。絶対に不公平だ!

初体験や出産で痛みに耐えるのは女。女だと言うだけで周りから軽視される。


『あームカつくー!!でやぁーっ!!』

「うお!?」


ついつい組んでいた切原を背負い投げしてしまった。

受け身をした時に出る畳を叩いた音が辺りに響いた。しかし、あまりの広さに反響することを知らぬまま、音は消えていった。

それで、無駄に広い道場を二人で使うなんて勿体ない気がした。近所のちびっ子に開放してやりたいくらいだ。


「酷いっスよー」


床に倒れたままでいる切原は下から私を見上げていた。

その横に屈み込んで顔を眺めた。


『ごめん。』

「全く、元気ありすぎっスよ〜お嬢は。」


なんて言いながら身を起こした切原は急に痛そうに顔を歪めて足を押さえた。

だから、てっきり――。


『痛めたの!?』

「いや全然?」


あっと言う間に私は天地がひっくり返るように押し倒された。

騙された。

今度は私が切原を見上げる形になった。


『なにすんのよ。』

「逆転ーやっぱ女を下にするのって気持ちいいわ。」

『ちょ!主人になんてことしてるの!退けなさい!』

「やだね。アンタが俺をひっくり返せたら離してやるけど。」


無理な条件でもとりあえずチャレンジしてみた。しかし、結果はやるまえからわかりきっていた。


『……気が済んだら退けなさいよ!?』

「気が済んだらですからねー」


切原は笑っていたけどどこか笑え切れていない。

たぶん目が真剣だから。


「ねぇ、結菜お嬢様?」

『なによ。』

「一昨日、なに白石さんといいことしてたわけー?」

『っ、なにも!』

「嘘、首に痕ついてる。」


そう言われて瞬時に白石とのことを思い出し、思わず首を両手で押さえた。

すると切原は笑うのだった。


「結菜、可愛いー」

『やめてよ!』


抱き着いてきた切原を押し退けると切原は私を見下ろして言った。


「白石さんとなにしたのか教えてくれねぇの?執事に隠し事なんてらしくねぇじゃん?」

『切原に関係ないでしょ!』

「白石さんが好き?」

『へ?』

「もしそうだったら、そう簡単にはいかせません。」


なにを急に言い出すのか、と内心彼を笑った。

執事は好きでも恋愛対象になるなんてあるわけない。


『白石はマナーだって言って無理矢理…!』

「マナー…ふーん?」


切原が嬉しそうに笑うから私は身の危険を感じた。

切原の股の間から足を入れて腹部を膝から足首にかけての部分で押してひっくり返した。

普段の稽古でのことがまさか稽古中に役立つとは…


『(逃げなきゃ!)』

「逃がすかよ!」

『きゃあ!』


腕を捕まれるとそのまま壁に突き飛ばされ、壁にぶち当たった。

彼は私がよろけた隙に近寄ってきて壁に押し付けた。


「一昨日の復習だぜ結菜。それも稽古の一貫だ。」

『な、に…』


結んでいた帯を解くと切原は無理矢理Tシャツを脱がした。

髪が乱れたのを直す余裕はない。

自分の身体を手で隠すのに忙しかった。


「俺にも教えてよ。」

『なにを…』

「結菜の味を、」


肌を這う舌が怖い。

身を震わせ、強張らせたってどうにもならないのに身体が言うことを聞かない。


「感じてんの?やらしー身体。」

『違う!』


ズボンの紐を解かれると下まで見事にストンと落ちた。

私は下着のみの姿となった。


「紐パンかー。また脱がせやすいもんご親切にはいてくれちゃって。」

『切原のためにはいてんじゃない!』

「じゃあ誰のため?」

『誰のためでもない!』


切原はやたら白石を意識する。理由はわからない。

ただ、私が切原の前で肌かになるのにそう時間はいらなくて…


「後ろ向け。早く、」


白石みたいに時間をかけて優しくしてくれるわけじゃなくて、若干脅されているような急いでいるように見えた。

怖くて、ただ言うとおりにしか出来なかった。


「いい子っスねー」


すぐにブラのホックを外した切原は胸に触れて笑った。


「ははっ、やわけー!」

『やめて…!』

「感じてるくせに。」


突起物を摘まれる度に身体が反応する。

徐々に身体が興奮していった。


「結菜、」


名前を呼ばれ、切原の指示で向き直った。

顔をまともに見れなくて俯いて身体を手で隠しているとふと笑って私の頬に触れた。


「可愛いじゃん、」

『っ、』

「誘ってんの?」


返答する気力もなかった。

切原は私の腕を自分の首に回させると片足を持ち上げた。


『やぁ!』

「こんなトロトロにしといてなにがやぁ、だよ。」

『切原やめて!』

「やめねーし。こんなチャンス、逃すバカはいねぇ!」


切原は目の前で2本の指をちらつかせると妖しく笑いながらが下へと手を延ばした。

私の入口の周りを撫でるように触る。すると身体が小さく反応した。


「ヌルヌル、」

『そういうこと言わないで!』

「ホントのことじゃん。」


わざわざその手を目の前に持ってきてその濡れ具合を私に見せてくる。

彼は間違いなく鬼畜だ。


「イクぜ?」


そう言うと私のナカに指を滑らせた。

膝裏を持ち上げられた状態だからつるっと2本の指を飲み込んだ。


「イケるじゃん。」

『ふっ、あっ、あっ!』

「なに、ここ?」

『ひあっん!』


グチャグチャと音を立て、より反応するところをついて来る。

頭が可笑しくなる。


『き、りはらぁ!』

「んだよ。」

『はぁっ、はぁっ、』

「あ。もしかしなくとも俺とセックスする気になったってか。」


返事は出来ない。

私は涙を拭って切原に抱き着いた。

恐怖と快楽が入り交じる。私はどうしたい?


「可愛いヤツ、」


切原が繋がる支度を始めた。恐怖が私を襲ってきた。


「いきまーす。」


切原の言葉に目を固くつぶった。

覚悟を決めた。しかし、切原は一行に動かない。

私は切原の顔を見るために身を離した。


『?』

「隙あり!」


切原は私を壁に押し付けて少し持ち上げると両足を持った。そして反り立つ自身を挿入しこんだ。

タイミングをずらされることで極度に反応してしまった。


『あぁんっ!』

「っ、いい声じゃん。しかも、締め付け最高っ!」

『んっ、あっ、あぁっ、』


自分の重みで奥まで挿入ることにその時は気づかない。

今はそれどころじゃない。


『ひゃあっ、ふっう、ん…』

「淫乱。気持ちいいんだろ?」

『んーっ!』


白石としたときとはまた違う感じがした。

自分がどうなったかもわからないくらい狂ってしまったようだった。





その後。

切原は綺麗に処理してくれた。


「またしようなー?」

『バカ!おまえなんか解雇だ。』

「俺との熱ーい一時とアレ、忘れられないくせに。」

『っ、』


この生意気さにはしつけが必要かもしれない。

なぜこんなになったのか。


「そういや、胴着の下にTシャツ着る話してたよな?」

『う、うん。』

「俺は着てくれない方が燃えます。むしろ、着ないこと希望っス!」

『バカバカバカー!』

「ぷっ、ははは。」


誰かこの悪魔を退治して。そうでなければ、私は彼に骨の髄までしゃぶられて食い尽くされる…!





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