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act.8『女』
(跡部視点)


忍足に頭を撫でられると照れながら微笑むリョウ。

その瞬間、俺はリョウに惚れてしまったと気づいた。

今、口に出す気はないがな。


「跡部、ヤバいん?」

「うっせ!」

『?』

「せや〜…俺の名前は忍足侑士、よろしくな?」

『侑士さん?』

「あらま、そんな呼ばれ方すんの初めてやわ。でも、自分は侑士でええ「コイツは忍足で良い。」

「ヒドいわ跡部。」


忍足とはあまり関わってほしくないのが正直な話だ。


『じゃあ、忍足さん?』

「んー…まぁ、それでええよ。ご主人様がヤキモチ妬いてもアカンからな。」

『はい。』

「まぁ、ご挨拶はそんなもんでいいだろう。ついて来いよ、リョウ。」

「どこ連れてくん?」

「必要なもん買ってやるんだよ。」

「宍戸に断りもなしにええんかいな?」


忍足は不安そうについてくる。

リョウも疑問符を浮かべながら四つん這いでついてきた。

散歩につれてってくれるのかな?とぶつぶつ言っていた。


「車は呼んだん?」

「あぁ、」

『車ってなんですか?』

「今乗せてやるよ。」


玄関まで来るとリョウは姿見鏡を見て目を丸めた。


『……これは誰ですか?』

「これってなんや?あぁ、そうか…まだ自分を見てへんねやもんな。」


俺はリョウを二つの足で立たせ、後ろから優しく抱きしめ、顎を軽く持ち上げて首を傾けさせ、視線を合わせる。

そして、口元で笑いながら言う。


「リョウ、おまえだ。」

『わ、たし…?』

「俺が今まで見た女の中で一番綺麗だ。」


そう言うと少し頬を赤くしていた。

自分でもどうしてしまったのか理解できなかった。

今まで腐るほどの女を見てきたのにこんなにも目を離せない女は初めてだった。


「(本気なっとるんとちゃうやろな、跡部のヤツ。)」

「……ほら行くぞ。」


ひょろひょろの体を抱き上げ、外に出た。


「軽いな……まるで鳥みたいだ。」

『そんなに軽いんですか?』

「あぁ、」


そう言い、リョウを車に乗せた。

リョウは始めて見る世界を出来るだけ瞬きせずに見ている。

そしてカラフルなネオンを見て、口が開いたまま。


教えてやろうと思った。

今まで知らなかった色のついた世界を――


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あきゅろす。
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