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act.81『これをなんて呼ぼう』
(仁王視点)


『宍戸!!』


自分に駆け寄ってきたリョウを宍戸は嬉しそうに抱きとめた。


「あのバカ、でかい声出しやがって…近所迷惑だ。」


皮肉を言う跡部を見て、こももは俺の顔を見て笑った。

そして、跡部をギュッと抱きしめた。


「俺の気持ち無駄にしやがったら吊し上げてやろうと思ってた、ぐらい言ってきたら?」


笑いながら言うこももに跡部は力なく笑っていた。

わぁぁ、と外で歓声が上がり、俺は窓から下を見た。

そこには共に学んで育った仲間がいた。


「忍足先輩、これってハッピーエンドと呼ぶべきでしょうか?」

「せやなぁ。宍戸とリョウの恋愛はまさしくラブロマンスやん!」

「侑士キモい。」


忍足の発言にシラケる向日は日吉に文句を言っていた。


「な、なんでおまえらが!?」

『日吉くんに忍足さん、岳人さんも…』


宍戸は事の状況を理解できないらしく、いつもより多く瞬きをしていた。


「いやな?仁王から、今跡部んちに行けばオモロいもんが見れるー言うからみんなで来てん。」


笑いながら答える忍足の言葉を聞き、宍戸はふと窓を見た。

そこからみんなの様子を眺めていた俺の姿を見るや宍戸が文句を言った。


「仁王テメェ!」

「文句言いなさんな。誰んお陰でリョウと幸せになれたと思うん?」

「跡部のヤツが潔(いさぎ)く身を引いたのが一番の理由だろ?俺、跡部のこと見直したぜ?ホント良い奴だった、」

「まだ生きてるやろうが!」


向日と忍足の漫才に宍戸は笑うことなく、リョウに真剣に尋ねていた。


「リョウ、おまえ跡部と別れたのか?」

「「今更〜!?」」


宍戸のボケにドッと周りは笑ったが気の優しい鳳は跡部を思うと笑えずに、眉の端を下げていた。


「宍戸さんたちが幸せなのは嬉しいですけど…その反面、跡部さんが可哀想に思えます。」

「ウス、」


そう言った鳳に対し、芥川は冗談っぽく言いながら笑った。


「最終的に跡部はこももに流れそうだから大丈夫だC!」

「さぁ?…それはどうじゃろうな?」


跡部とこももを横目で見て、俺は不適に笑った。

いつまでも落ち込んではいられないと跡部は思ったのか、急に様子が変わった。


「こもも、おまえ俺様のところに嫁にくるか?」

「…え?」


冗談が言えるようになっただけ、元気を取り戻したのだろう。


「やめときんしゃい、こもも。ろくな目に遭わんよ。」

「なんて失礼なことを言いやがる!ああん!?」


今はこれで良いんと違うか?

幸せの形は人それぞれじゃけ。


「こもも?」

「なに、景ちゃん?」

「おまえの気持ち、わかったぜ?本当に好きなヤツが幸せそうだと自分まで幸せになれる、ってやつな。」


笑いあえる仲間がいて、隣には愛しい恋人がいて、そばには頼れる親友がいて、支えてくれる友がいる。


『もう、見捨てないでね?』

「その約束は絶対に守るかんな?」


宍戸にしても、リョウにしても、跡部にしても、こももにしても。

今の瞬間をきっと幸せと呼ぶんよ。





犬も歩けばラヴ…


前に踏み出してみんしゃい?

愛犬が前に進むなら飼い主はもっと前に進まんとな?





** Thanks! **


あきゅろす。
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