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act.6『嵐がくる』



あまりに珍しい光景だからなにか企んでいるのではないかと疑ったりもした。


「よぉ、宍戸。」

「なんだ跡部、玄関にいるなんて珍しいな。樺地待ち?あ、岳人待ちか?」

「おまえよ?今日部活後、バイトなんだろ?」

「あ?あぁ、」

「いらねぇ家具があるから部屋に詰め込んどいてやるよ。」

「詰め込む!?おまえ、あの部屋がおまえんちに比べるとどれだけ狭いか知ってんだろ!?」


跡部はクククッとのどを鳴らし笑いながら片手を出した。


「……なんだよ。」

「鍵だ、鍵。おまえがいないうちに入れ込んどいてやるからよ。」

「今度はなにくれるつもりだよ。あまりデカいのは入らねぇからな。」

「楽しみにしとけ。」

「あー…あんま期待しないどくわ。」


今までもそうだけど、なんだかんだ言いながら跡部には世話になることが多かった。

信用してたから鍵を手渡した。


「終わったらポストに入れていてやるよ。」

「バカ、俺が入れねぇよ!!」

「じゃあ、待っててやるよ。ありがたく思いな。」


鍵を受け取り、去っていった跡部を少し疑問視したがあまり深くは追求しなかった。

教室に行く途中、ジローが近づいてきた。


「なぁなぁ、宍戸ー!」

「お、ジロー。」

「リョウ、さ?大丈夫…てか平気?」

「リョウ?なんでだよ?」

「いや、平気なら良いC!じゃあな☆」

「……へんなヤツ。」


今日はそんな感じでみんながリョウに関して聞いてきた。

平気?という質問自体理解できないまま部活を終え、俺はバイト先へ急いだ。


「よし。忍足、ついてきやがれ。」

「なんや?俺の予定とか気にしてくれへんのか。」

「グダグダ言わないで来い。」

「あーハイハイ、跡部様。」


跡部に付いて歩く忍足。

目指すは俺のマンション。


「宍戸居てへんねやろ?」

「鍵あんだよ。」

「さよか、」


部屋の前まで来ると鍵をあけ、靴を脱いで部屋に入る。


「リョウ!」

「跡部、リョウのこと気に入ったん?昨日もなんか食わしとったろ?」


しばらく待っても昨日のようにトタタッと走ってくる音もなく、リョウの姿もない。

忍足は心配になり、周りを見渡した。


「見てみい、跡部!宍戸、いつの間にか女連れ込むようになってるわ。」


ドアの隙間から見えたベッドの上にいる女性の足を見て忍足が


あきゅろす。
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