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act.51『罪と罰』
(跡部視点)


俺が家を出たのは午後の3時過ぎだが現在、今見た時計が電池切れでなければ時刻は3時。


「こもも、おまえまさか今まで寝ずに……」

「今日はお昼寝したから平気。」

「俺は平気だから「病人を放ってはおけません。」

「…誰が病人だ。」

「熱、かなり高いのよ?だから心配だもん。」


そう言って俺の頬に氷嚢(ひょうのう)を当てた。

たいして冷たいと感じず、かえって気持ちよく思えたことから熱が高いことを知った。


「あまり食べてなかったでしょ?」

「あ?」

「雅治がここまで運んでくれたんだけどね?自分と体型があまり変わらないはずなのにやけに軽いって言ってたから。」

「仁王が運んだのか?」

「うん。二人で景ちゃんちに行く途中で屈んでる景ちゃんを見つけたの。雅治がいなかったらどうしてたかな?」

「…仁王は?」

「ここの家の主と語ってる。」

「そうか、」


俺を仁王がベッドまで運んだあと、こももが付きっきりで看病してくれていたことを悟った。

親切にしてくれたこももにいつかお礼をしようとこのときに思うが彼女に頼りきりになることとなる。


「ゆっくり休みなさい?て、言ってもこももが景ちゃんを追い込んだから考えすぎちゃって疲れたんだよね…ごめんね?」

「俺はそんな風には思ってないぜ?」

「でも、顔が疲れてるように見えたから……」


俺のせいでこももを巻き込んだようなものなになぜそこまで心配してくれるかわからなかった。


「なぁ?……俺はこももと同じようにリョウが幸せならそれでいい。そう感じるようになるか?」

「……なれるよ。今は辛くてもね?」


俺の髪をひと撫でし、ふわりと優しく笑ったこももを見て視界が滲んだ。


「どう足掻(あが)いても、もう無駄だって思うんだ。だから…宍戸とリョウといるのが辛い、」

「当初の宍戸くんの気持ちがわかっていいんじゃない?」


そう言われてハッと気づく。

宍戸がどれほど俺の家にいるのが辛かったのか。


「宍戸くんの辛さを理解して、二人の幸せを願えたとき……利他的になれた、強くなれたっていう証拠だね。」


こももが言うことは正しい。

正しいからこそ、自分の考えがどれほど歪んでいるかを知って苦しくなる。

これが宍戸からリョウを奪った、俺が受けるべき罰なのかもしれない。





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