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久々の再会


「プロを目指す。」


そう言って勢いで大切な物を残して家を飛び出したのは高校を卒業した18歳の春のこと。

技術を学んで就職した俺はその先で先輩たちにビシビシ教育され、技術を磨き、家に帰ることなど出来ないくらい忙しい毎日を送っていた。

ようやく余裕が出来た、と思い、何年かぶりに実家に帰った。

しかし結局、目的を果たせずにまた仕事が始まった。

家を出て、気がつけば7年が経過し、俺は25歳になっていた。


「よっ、久しぶり仁王!」

「久しぶりじゃのう。元気そうでなによりじゃ。」

「おまえもな。」


空港まで迎えに来てくれたのは学生時代からの友人の仁王雅治。

たまに連絡をとっていたため、実家に帰ることを一番に知らせたのは悲しくも家族でも恋人でもなく仁王だった。

恋人いねえけど。


「なんではじめから職場をこっち希望しなかったん?」

「いや、なんかさ。家から離れた生活もいいもんだなーなんて思ってよ?」

「とか言うて、向こうで好きな女でも出来たんじゃなかの?」

「ちげぇし!」


俺はこの春、地元の職場に移動になり、ようやく実家に帰ってきたのだった。


「真衣も楽しみにしとったぜよ?」

「あー」

「なんじゃい、素っ気ない返事。」

「いや、だって7年ぶりだぜぃ?」

「緊張しとうの?」


ニヤニヤと笑う仁王は俺の心境を探ろうとしていると察し、冷静に答えることにした。


「別に。家族だろぃ?」

「まぁな。」


仁王の車まで案内され、荷物をトランクに積み、助手席に乗り込んだ。

シートベルトを手にかけたとき、仁王は思い出したように言った。


「真衣、彼氏出来たんよ?」

「マジ!?」

「俺が彼氏、って言うたらどうする?」


そう仁王は言いながらエンジンをかけた。

絶対試されてる、引っかかったら奴の思うつぼだ、と思いながらも真実か偽りかわからないため、うまい逃げ道が見つからない。

言葉に迷っていると仁王が口を開いた。


「真衣も18歳じゃよ?男ぐらいちゃんと選ぶ。」

「もし、真衣がマジでおまえを選んでたなら、俺は真衣の趣味を疑う。」

「ヒドい言われようじゃ。」


その会話を最後に二人の間に言葉はなくなった。


――真衣。

大きくなってる、いや、綺麗になってるんだろうな。


仁王の車に備えられているデッキから流れる知らない曲なんかに耳を傾ける気にはなれず、俺はそう思いながら目を閉じた。





小さな恋人 
little lover 






廉生 真衣。

血の繋がりのない俺の妹、それでも大切な家族には変わりない。

真衣は俺が中学1年のときに出会った可哀想な女の子だった。






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