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8>>More than a friend.



誰かが太陽の動きを早めたのかと疑うほど、陽奈といると時の経過を忘れてしまう。

あれから二人で話し込んでて気がつけば夕方になっとう。


『今日はありがとう!』

「家まで送るぜよ?」

『平気、』

「いんや、俺が平気じゃなかの。送らせてくれん?近場まででもいいん。」


もう少し一緒にいたいという気持ちが包含されていることを彼女は気づかなかったようだ。


『じゃあ、お言葉に甘えて。仁王くんって本当に優しいよね?』


陽奈に褒められたんは嬉しい。

じゃけ、陽奈だから優しく出来ること、早よう気づいてほしい。

て、気づくわけなかよね。


「陽奈にだけじゃよ、」

『え?』

「陽奈が俺に優しい気持ち教えてくれたん。じゃけ、自然に陽奈相手なら優しくできるん。」


そう言えば、陽奈は頬をりんごのように赤くして恥ずかしそうに笑った。

その仕草がまた女らしさを感じた。


「こないだ借りたハンカチ。今日返そうと思うたらまたハンカチ借りてしもうたのう、」

『返すのはいつでもいいよ?』


まぁ、また会う口実となるからいいか、なんて頭の隅で考えた。

そんな風に思いながら借りていたハンカチを返すと彼女はそれを見て笑った。


『わざわざアイロンかけてくれたの?』

「借りたときからアイロンかかっとったぜよ。」

『ふふ、ありがとう。』


母親にアイロン掛けを頼むんは簡単じゃ。

じゃけ、それじゃ意味がなか。

俺は陽奈ん気持ちを考えながらアイロンを掛けた。

するとやはり、気持ちが暖かくなった。


「また返しにくるぜよ、」

『いつでも平気だからね?』


日々、メールでやりとりしていくうちに仲良くなり、同時に陽奈を知る機会ともなった。

知れば知るほど、好きになった。


「早いうちに返す、」


次に会うなら明日でもいい――そう思うまでに好きになってしもうたん。

俺ん気持ちは一方的、ただの友達なんかのう?

そう思うた時じゃ。


『じゃあ、今度は一緒に出掛けようか?』


最低でも友達ではある、と理解した瞬間じゃった。


「喜んで、」

『仁王くんは映画とか見るの?』

「んーそうじゃのう。」

『それとも、ボーリングとかのほうが好き?』

「陽奈と一緒ならなんでも好きじゃ、」


そう思ったことを言えば、陽奈は照れくさそうに笑っていた。

包み隠しのない表情に胸がキュッと締め付けられた気がした。


『いつなら都合良い?部活とか忙しいでしょ?』

「あー…そうじゃのう。今日みたいに日曜なら平気なんじゃけど、」

『私は日曜でもいいよ?日曜にしようか。』


好きだったテニス(部活)が毎日あることを少し恨んだ。

しかし、ここにも欲張りな精神が反映していた。


「(春じゃけ、気合い入っとうのはわかるが…なんとかならんのんかい、部長さん。)」


日曜日に一緒に遊ぶ約束したんじゃからいいのに。

日曜まで待ちきれないからって部活を邪見にしてはいけないぜよ、自分。

まったく笑えるな。




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