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 天の邪鬼


フワフワと揺れて気づいて目を開けるけどまた寝てしまった。


「無防備にも程がある。だから余計に手出したくなんだよ、」


半開きの唇になま暖かい柔らかいものが当てられ、それが何かを理解するのに時間はかからなかった。


『(あ、跡部くん!?)』

「んっ、」

『んん、んんー!!』


私が目覚めたのに景吾が気づくとニヤリと目が笑う。

サァッと血の気が引いたことが自分でもわかった。

細いくせにしっかりした男らしい肩を押してもびくともしない。

所詮ガキ、という私の中のイメージは一瞬で変わった。


『んッ!』


ヌルッとしたものが咥内に入るや脳が熱くなり、躯が疼(うず)いた。


『っふはあ!!』


呼吸をようやく許されて酸素を取り入れる。

ホッと安心して体の力が抜けた。


「気持ち良いことしようぜ?明良先生?」

『誰がアンタみたいなガキと、』

「口だけは達者だな。」

『私は教師!跡部くんは生徒!』

「別に良いだろ?……性教育も教師の仕事だろ?」


上手いように言いくるめられるところだった。


『私は英語専門なの!』

「性教育は出来ねぇってか?」

『保健医にでも教えてもらいなさい。』

「俺は明良先生に教わりてぇんだよなー」


顔を寄せてきた彼を一言、無理と言って断るしか出来なかった。


「あ、それともセックスは初めてか?」

『ッ、』

「なら俺が教えねぇとな。」


生意気加減にカチンッと来て頬を勢いよく叩いた。


『ガキはガキ同士、大人は大人同士、』


そう言って彼の腕から逃げて生徒会室の扉に手をかけたとき、景吾に引き留められた。


「教師は教師同士、じゃなくてか?」

『…なによそれ?』

「宍戸亮の兄貴と同級生なんだってな?明良先生、」

『だから?』

「兄貴が好きだってよ。おまえのこと。」


そう言われ、思考は停止した。

嘘だったかもしれないのに真に受けてしまったのだ。


『し、宍戸が…?』

「……チッ、やっぱり帰さねぇ!」


ドアがガタンと音を立てた。

私は一瞬で景吾に取り押さえられた。


「俺に抱かれろ、」

『なんで跡部くんに抱かれなきゃならないの!?』

「抱きたいからに決まってんだろ?」


プチンッと何かが切れる音とした。

景吾程顔が良い男なら性欲処理器になってくれる女の子は多くいるだろう。

その女の子と一緒にされて良い気はしなかった。


『誰がガキの性欲処理器になるか!!』


勢いよく景吾の股間を蹴りあげた。

逃げるにはこれしか手段はなかった。


『セフレなら他を当たりなさい?』


そう言い残し、生徒会室を後にした。

職員室へと向かう途中、顔が火照り始めた。

本当は少し嬉しくもあった。


『……バカ、』


女として見てくれてたことが――





あきゅろす。
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