生徒と教師の務め
彼の様子を見れば、よほど痛いらしく涙目になっていた。
「…にしやがる!」
『こっちの台詞だよ。』
「いつも教師面しやがって。」
『だって教師だもん。』
ガキにはまだ負ける気はない。
でも……
「夜、覚えとけよ?」
ベッドの上ではそのガキに勝てないのだった。
しかし、悔しいから負けは認めない。
『はいはい。直したら生徒会室に持っていくから。』
「あぁ。」
『……てか、今は授業中でしょ?ここでなにしてんの?』
「明良センセイに会いに、」
『あーはいはい。』
軽くあしらい、椅子に座った。
見なくても彼がふてくされているのは100%。
隣に今もいる彼の腰を叩いて促した。
『機嫌を取り直して授業に早く行きなさい?』
「チッ、マジで教師面しやがって。」
『だから私は教師だもん、』
「あん?教師である前に俺の彼女だろ?」
『景吾の彼女である前に教師なの!』
「………ふん、」
あぁ、拗ねちゃった。
横目で完全にいじけている彼を見たけど面倒くさいからスルーしてみた。
彼が私にかまってほしいという気持ちはひしひしと伝わってくるからわかる。
『触らないで、』
今、景吾が私の素足を撫でていたのも理由はそれ。
しかし、場所が場所だから触ってくる手をペチッと力なく叩いて叱った。
すると景吾は不満げな声を上げた。
「保たねぇ、」
『知らない。』
「放課後、」
『無理。』
「なら今、」
『もっと無理。』
「…チッ、」
性欲真っ盛りの景吾は私に触る度に行為へと誘う。
触るからいけないんだと思うけど?…
「無理ヤダ今すぐ、」
『なにガキくさいこと言ってるの?』
「……はぁ。」
ため息を吐いて俯いた景吾の頭を優しく撫でてなだめた。
『まったく、子供なんだから。』
「……俺は明良がす「跡部ぇ?」
『あ、忍足くん。』
タイミング良く職員室に現れた忍足くんにより景吾の言葉は遮られた。
「明良センセ、跡部おる?あ、やっぱりいてた!あんなぁ「邪魔すんじゃねぇよ!!」
『いや、邪魔はしてないから平気、』
「ああん!?」
明からさまに不機嫌な声を上げる景吾。
しかし、今は恋人ではなく一教師として授業に出るよう生徒の背中を押すべきなのだ。
「宍戸センセ怒ってはったで?」
『さぁ、跡部くん。行きなさい?』
「マジで夜は覚悟しとけよ!」
そう言い残すと景吾は忍足くんに連れられて去っていった。
仕方ないじゃない?
勉学に励むのは学生の務めだし?
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