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 ガキだから許されること


宍戸の姿がその場から見えなくなっても、俺は一人そこにいた。

突然、ザァッと木々を揺らして吹いた風が髪をなびかせた。

その風に乗せるように俺は明良の名前を呟いた――










「明良……」










そして、深呼吸をしてから窓が開いている教室に向かい叫んだ。


「明良ー!!」


ザワザワッと教室の窓から生徒たちが顔を出した。

何事か、と顔を出すのは明良も同じだった。


『う、そ。』

「明良!30秒以内にここにこねぇと許さねぇ!!」

『ッ、』


明良はそれを聞くとすぐに窓から頭をひっこめた。

授業を続行するのか?

それとも放棄したのだろうか?


『景吾ー!!』


結論付くまえに答えは出た。

走りにくい短いスカートと高いヒールでよくこんなに早く外に出て来れたものだ。


『おかえりなさい!!』

「ただいま。……待たせたな、明良。」


両手を広げたその腕の中に明良はまるで無邪気な子犬のように飛び込んできた。


「やっぱり、明良以上の女はいなかったぜ?」

『どんな女より私が景吾にふさわしいこと…』

「あぁ、より一層実感できたぜ。」

『バカ!』


欲しいものが手に入らないときは恥をものともせず、駄々をこねるガキのようになってやる。


「俺は明良じゃなきゃいらない。明良だけいればいい。」

『…うん、』


うまく手に入ったなら誰にも渡さないように常に持ち歩くガキの様になってやる。


「二度と離れやしねぇよ。この5年間、何度明良を泣かせたのか…と思うと――」

『景吾が思うほど泣いてないよ?』

「ならいいんだけどな?でも、俺が離れるのが辛いんだよ。」


寝るも起きるも、悪さするも叱られるも、笑うも遊ぶも常に一緒でありたい。


「だから、もう一度言う。……明良、結婚しようぜ?」

『――はい、』

「この跡部景吾が誰よりも幸せにしてやるよ。」

『あははっ…期待してます、旦那様。』










簡単に手に入れるなんてつまらない。

苦労して手に入れてこそ、欲しかったものを大事にできんだ。





と、偉そうに言えるのは明良とのこの恋が成功したからだ。



年下の
だが、これからはこの5年で成長した俺を見せてやる――





** Thanks **


あきゅろす。
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