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 5年後…


あれから5年と少し。

大学を卒業し、1年はうちの本部(アメリカ)で勉強した。

遠距離恋愛中、明良との連絡手段は手紙だけ。

忙しくても、手紙を書いた。

声を聞くのは再会したときの楽しみだ、とお互いに考えたのだ。



5年も経てば、あの頃建っていたマンションは改築されてたり、店が新しく建ってたりと、ずいぶん景観が変わったというものの懐かしく思える風景に胸が弾んだ。


「景吾ぼっちゃま、お着き致しました。」

「あぁ、ご苦労、」


俺が向かった先は――母校である氷帝学園。

ジローは家の手伝いをし、忍足は本格的に医者(内科希望だとよ)になろうとしているらしい。

宍戸は――


「うっそ!跡部か!?」

「あん?」

「うわーマジで本物じゃん!!」

「チッ、俺様は一番に明良と会いたかったんだがな。」

「悪かったな、明良さんじゃなくて。」


氷帝学園で体育の臨時職員をしていた。


「明良はどこだ?」

「明良さんなら…今英語の授業してはずだぜ?」

「ふっ、そうか。」


それなりに元気そうにしていると聞き、ひとまず安心する。

文章だけではわからないものもあるから、それが心配だった。


「あ、そうだ。あそこの教室だぜ?」


宍戸が指を指した教室は窓が開いていた。

カーテンが風で揺れ、その度に聞こえてくる懐かしくもなんともない英会話。


「相変わらず人気あるぜ?明良さん、」

「それは授業がか?」

「授業も、明良さん自身も、」

「あん?なんだと!?」

「だってよく考えて見ろよ?あのモテる兄貴が明良さん一筋なんだぜ?」

「あぁ、宍戸と違って浩太郎さんはモテるからな。」

「うっせぇな!余計なお世話だ!」


宍戸の反応を見て笑っていると遠くから女子生徒が宍戸を呼んだ。


「宍戸せんせーい!早く早くー!」

「あーはいはい、今行くから!」

「……モテんじゃねぇか、宍戸先生?」

「うっせー!」


宍戸は苦笑して俺にまたな、と挨拶をしてから生徒たちの元へ走っていった。





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