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 エッチな彼氏


思い返せば懐かしく思う。

あれから二年半が経つというのだから時の流れというのは残酷だ。


「生徒の中では跡部くんとか格好いいよね?」

「でもワガママだからヤダー!」

『(ワガママ、ね。おっしゃる通りだわ。)』


さきのくだらない恋愛話で盛り上がる教諭たちの話を授業で配る資料を作りながら聞いていて、内心笑った。


「てか、明良は彼氏いないの?」

『…え?』

「だから彼氏だって!毎度毎度、合コン断るじゃん?」

『あ、その「明良先生、」


ふいに名前を呼ばれてびっくりして立ち上がる。


『け、……跡部くん。』

「授業になかなか見えないので呼びに来ました。」

『え?』


私の授業ではないはずと慌てて資料の下敷きになっているであろう時間割表を見るべく、物を避けた。


「……ククッ、嘘だぜ?何回この手に引っかかるんだ?」

『…ム、ムカつく!』

「クククッ、」

『笑うなぁ!』


悪戯に笑いながら腕組みして私を見下ろす彼。

周りから見れば仲の良い生徒と教師かもしれない。


「じゃ、明良。また後でさっきの続き聞かせてねー?私、授業の支度してくるからー」

『う、あ、はい。』


授業に出かけた教諭たちを見送ると人がいなくなったことを確認してから彼は口を開いた。


「……さっきの続きってなんだ?」

『彼氏の話、』

「良い機会じゃねぇか。」

『冗談じゃない。』

「おまえ、俺を彼氏だと思ってねぇだろ?」


私たちは恋人同士。

だからといって学校側にバレるわけにはいけないから内密にしている。

しかし、景吾は目立つから生徒たちの間ではかなり噂立っている。

と、いうものの生徒たちが騒ぎ立てることはなかった。


『で、なに?跡部くん。』

「……ついでなんで生徒会の議案についてですがミスを報告しに来ました。」

『どこ?』


ここです、と言うと少し屈みながら資料を指さす景吾。

背が低い私に視線を合わせてくれているようだ。

ありがたい。


『結構間違いあるなぁ…しょうがない。直す――ッ!///』

「ふっ、」


けど、誰がケツを撫でて良いって言った?


『なにしてくれるの?』


微笑んでから景吾の顎を下から殴った。

身長差があるからこそ出来るアッパー。

顎の痛みに耐える彼は屈んで顎をさすっている。

哀れだが仕方ない。

もし学校側にバレたら問題になる。

ガキじゃないんだからいい加減、場所と時間、私の立場は考えて欲しいわけ。



これは小さなことから盛ってしまうガキ、景吾と素直になれない可愛くない大人の私の話なのです。


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あきゅろす。
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