あれから…
6時間近く経つ今も顔を歪め、私の名前を呼ぶ景吾がいる。
涙を流す景吾が頭から離れない。
「これでいいのか?」
『知ってるのに聞かないで、』
「悪い、」
私が別れなくてはならない理由、それは景吾のためだった。
それを浩太郎も知っているはず。
「その決断は本当に跡部のためになるのか?」
『そうでなくとも、ご両親に引き裂かれてたよ。』
「……留学とか、お見合いの話か?」
『私は妨げになる、』
そう言った私に浩太郎は言う。
「自分に言い聞かせてるようにしか聞こえねぇな。」
確かにそう。
そうでもないと別れられなかった。
「6時間くらい車の中にいるけど、これからどうすんだ?」
『家には帰れない。景吾が合い鍵持ってるから、』
「じゃあ、うちくるか?」
『……もしかするとそっちに景吾が回るかも。車しばらく貸してくれない?私、どっちみち自宅謹慎だし、』
「自宅謹慎なのに自宅にいねぇじゃん(笑)」
浩太郎と相談した結果、翌日まで車の中にいることにした。
部屋にある景吾の荷物を全部外に出さなければいけないし。
景吾が学校に来たときに家に帰ると約束し、その夜は車内で過ごした。
しかし、翌日。
景吾は学校にこなかった。
私は浩太郎から電話で情報を得た。
「跡部来てねぇんだわ。担任のヤツが連絡したみたいなんだけど繋がらねぇんだって、」
『……そう、わかった。』
「家に帰るわけいかねぇよな。やっぱうちにいろよ。鍵、ダッシュボードん中に入ってっから、」
浩太郎にそう勧められ、私は提案通りに行動した。
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