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 別れ


『真実を語れば、満足なの?』

「ッ、」

「明良ー!!」


煮詰まりそうな空気を割るように走ってきた浩太郎。

景吾に対するのとは違うが、少しだけ安心した。


「明良、行くぞ。」

『うん、』


手を握ってくれた浩太郎に合わせ、私は歩きだした。

それをすごい剣幕で景吾が引き留める。


「明良!まだ俺はなにも聞いちゃいねぇよ!!」

『……吊り合わないのが理由。』

「あん?」

『住む世界が本当に違うの。』

「……明良」

『嫌いになんかなってない。浮気もしてない、』

「ならなんで『ご両親のためだよ。』


今まで頭になかった問題に疑問符を浮かべる景吾。


「いきなりなんだよ、」

『景吾にふさわしい人はご両親が良く知ってると思うの。』

「違う!俺には明良が一番なんだ!!」


すがるように言う景吾を見て、感情を抑えることに限界が近づく。

浩太郎の手を握る自分の手が震え始めたからだ。


「明良、行くぞ!」


合図代わりに耳打ちする浩太郎。

腹を括れと言われた気がした。


『さようなら、景吾。』


そうだけ言うと浩太郎は私を抱えて走った。


「明良!!」


後ろから景吾が追ってくるが浩太郎は公園の縁に停めていた車に逃げ込む。

運転席のドアを開け、私を助手席に半ば投げる。

浩太郎が慌てて乗り込むとドアの鍵を閉めた。


「明良!明良!!」


景吾が助手席側の窓をバンバン叩いて名前を呼ぶ。


『もう…名前を呼ばないで、』

「出るぞ、」


浩太郎はすぐにエンジンをかけ、車を走らせる。


「待てよ、明良!!こんなのってないぜー!!」





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