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 なにがあっても


―翌朝

不快な目覚まし音に起こされ、目を擦りながら時計を止めた。


『……景吾起きなさい!』

「まだ寝る、」

『学校あるでしょ!?』

「休む、」

『起ーきーなーさーいー!!』

「なんでだよ!!」

『学生の仕事は勉強することです。』

「……教師面しやがって!!」


そう景吾は不機嫌そうに布団から出た。


「シャワー浴びるぞ、」

『どーぞ。』

「バカ、一緒に入んだよ!」

『えっ、ヤダ!!』

「彼氏の役目は彼女を気持ちよくさせることだしな。」


妖しく笑われて身の危険を感じた私はすぐに逃げようとした。

でもそれも許されるわけがなく、湿気の多い浴室で朝から1ラウンドやる羽目になった。


『信じらんない、』

「いいだろ別に。」

『……じゃあね景吾、授業中寝てたらチョーク投げるからね!』

「はいはい、」


学校の玄関で景吾と分かれ、職員用の玄関で浩太郎にバッタリ会った。

何となく気まずい。


「跡部と上手くいってんだな?でも女癖悪いって聞いたぜ?いいのか?そんなヤツが彼氏で、」

『信じてるもん。』


浩太郎の悪の囁きから逃げるように走った。

そう言うことを聞いてからはやたら周りの声が耳に入った。


「景吾ってば、最近マジで相手してくれない。」

「なんか明良とかってヤツにベッタリだとか、」

「はぁ?まだその噂ネタにしてんの?」

「だってこないだ忍足とかと言ってたよ?」


それからは景吾が私といるのはなんでだろうと考えた。

浩太郎にそう言われてから景吾に誘われるデートも“体調が悪い”を理由に一週間断った。


「先生?単語間違ってます。」

『え?あ…ごめん。』


授業中もあまり乗り気じゃなくて、景吾からの視線を感じても気づかない振りをしてた。


『じゃあ、今日はここまでね?この英文頭に入れなよ?テストに出すから』

「「え〜!?」」


ざわつく教室を後にし、教材の倉庫室に来た。


『はぁ、参ったな。』

「何がだよ?」

『浩太郎か…びっくりした。』

「体調悪いのか?なんか顔色悪い。」


誰のせいだ、と内心悪態づいた。

たまたま教材を置きに来た浩太郎と鉢合わせになった。

最悪。


浩太郎は徐々に近づいてくるといきなり抱きついてきた。


「なんで跡部なんかを見んだよ、」

『ちょ、浩太郎?』

「跡部よりも前からおまえのこと見てたのにあんなガキにとられてたまるかよ!!」

『ッ、んー!!』


無理矢理キスされて涙がジワリジワリと溢れてくる。

そのとき、教室のドアを荒々しく開けたのは景吾だった。


「俺様の女に触るな、淫行教師。」

『け、景吾……』

「また跡部くんか、」

「明良を放せ。俺のだ。」

「モノみたいに言わないでくれるか?」


景吾の声に同じ階の1年生たちがゾロゾロと教材教室前に集まっていた。


「跡部相手じゃ勝ち目ないんだな。」

「当然だ、」

「悪いな、明良。最後の悪あがきだ。」


浩太郎は私を手放すと寂しそうに笑った。

私は解放され、すぐに景吾のところに走って抱きついた。


「明良は俺のだ。誰にも渡さない。」


みんなの前で宣言してくれたことは嬉しかった。

周りがなんて言おうと、私は景吾に愛されてると思えた。


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