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 愛されてる


不思議なことに試しに付き合ってる期間中、景吾は手を出してこなかった。


『欲求不満になっちゃうよ?』

「うるせ、」

『……キスなら許してあげる。』

「理性崩すからしない、」


景吾の決意は堅いんだとわかった。

付き合いだしてからはどっちが大人なんだかわからない。


『でも、……キスして?てか、しなさい。』

「命令かよ、」

『景吾が年下だから。』

「うるせえよ、」


ロマンチックとは少しかけ離れている気がするけど寒い冬、暖かな明かりが灯されている公園の下で初めて景吾とキスをした。

私は触れられるだけのキスに満足できなかった。


『もっと、』

「はぁ?なんでだよ?」

『……もっとして、ほしいの。』

「やっと素直になりやがったな?」


後頭部と腰を支え、躯が熱くなるようなキスをしてくれた。

ヤバいな私。

相当本気になってる。


『景吾、年下のくせに生意気。』

「なんだよそれ、」

『ねぇ、景吾。』


景吾が好きだと自覚したときからだ。

私が景吾に甘えるようになったのは―…


『寒いから帰りたい、』

「なら、今日泊めろ。」

『自分の家に帰れば?』

「めんどくせぇし、」


布団がないと言えば景吾はニヤリと妖しく笑いながら返答する。


「ソファーでいい。ベッドに入れてくれんなら、なお嬉しいがな?」

『バカ、入れるわけないでしょ?』


彼氏を初めて家にあげるから緊張してたのに景吾のせまい、という一言で緊張は和らいだ。


「明良、体冷えてんな。」

『平気。何か飲む?』

「カクテル、」

『未成年だから無理、』


コーヒーカップを用意してコーヒーをいれてあげた。

それを上品に飲む景吾をただじっと見ていた。


「最近、噂になってるぜ?」

『なにが?』

「明良の下着の基本は紐パンだってな。」

『な、なにそれ!?』

「俺様が直々に確認してやる、」

『ちょ、やめてよ!』


追いかけてくる景吾から逃げるために家の中を走り回る。

でも男の前では無駄な労力と知っていた。


「捕まえた!!」

『ッ、とあ!?』


景吾に捕まれた反動で転けそうになった。

しかし、時間が経っても体に痛みが生じないからゆっくり目を開ければ目の前には景吾がいた。


「平気か?」

『ご、ごめん。』

「謝る理由なんかないだろ?」


跡部景吾が下敷きになってるなんてなんだか申し訳なくてすぐに避けようとした。


『降り「降りなくて良い、」

『なんで?』

「くっついてると空間、時間、鼓動…すべて明良と共有出来るからだ、」

『殺し文句だ。』

「あん?フッ、他のヤツには言わねぇよ、」


あぁ、愛されてるんだなぁと感じた。





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