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 取り戻した関係


それは相手が例え生徒だとしても、子供に見えても大人の私より大人な考え方が出来ること。


『少しずつ成長してるんだな、』


バカにしてたつもりはないけど。

でも、どこかでバカにしていたのかもしれない。


「独り言ですか?」

『!』


気がついたら忍足くんはいなくて代わりに景吾がいた。

いつの間にか時間が経過してたようだ。


『(あれ?私……生徒会室になんでいるの?)』

「みんな帰りましたよ。」


それだけ言うと景吾は黙々とペンを動かしていた。


『(じゃあ、跡部くんもガキ扱いしたら失礼ってことだよね……)』

「……なんですか?」

『(みんなは私が跡部くんを好きって言いたいのかな?それって――)』

「明良先生?」

『ッ、きゃああ!!』


顔を覗かれて驚いたは仕方ないけど景吾の表情が曇った。


「どうしたんですか、先生?」


ズキン―…

胸が痛んだ。


『いや…考えごとしてて、』

「そうですか。あ、鍵渡してくれればいいですよ。最後閉めますから。」

『そういうわけには、』

「先生にはほかにも仕事があるんじゃないですか?」


ズキン―…

まただ。


『……』


胸の痛みはなぜ?

なぜ、私は泣いてるの?


「ちょ、何泣いてやがんだ。良い年した大人が、」


良い年した大人、か。

情けないよね。


『……ごめん、…ごめん…跡部くん、』

「……」

『傷つけるつもりはなかったし、蹴るつもりもなかった。』

「…なんだ、そんなことかよ。」


私の涙を景吾が拭ってくれたはいいけど顔がやたら近い。

恥ずかしさから顔を背けた。


「もう気にしてねぇよ……でも、その痛みの分、払ってくれよな。」

『それは慰謝料?』


悔しいことにニヤリと妖しく笑った景吾にドキッとした。





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