番外編
A
「えっえーーっ」
「超かわいーっ何今のーっ」
「うっうるさい女子っ黙りなさいっ」
「てか斎藤顔真っ赤だしーっ」
尋はそれはそれはご機嫌な夢を見ていた。玉子焼きと唐揚げが今までにないくらい上手に作れた夢だ。
ご機嫌な尋はゆるーい破壊力MAXな笑みを浮かべながら迷言を残して眠りについたのだ。
チロリーン
「げっ二年あんなとこから写メ撮ってるしっ」
「チッこうしてやる…」
斎藤は尋の真横に椅子を持ってきて廊下から見えないようにそこに座った。
「斎藤…割と本気だな。」
「何してんの?」
突如現れたけしからんくらいの美形参上。
「あっ条君♪♪」
「ちょっとねーっ」
「おい、何故声が黄色くなるっ女子」
「そこ…中嶋?どうかしたの…」
周辺はざわつく。
このモテ男、綾瀬条は自ら他人に興味を示すことは無いのだ。
相手が男なら尚更。
「いや別に。中嶋が眠りこけてる顔を拝もうとあそこにいる二年が写メまで撮ったから…」
「…ふーん。」
条はチラッと二年を見やる。
何故か二年はアタフタと散っていった。
条。一体どんな目つきで見たのやら。
そして…ジッと尋を見つめる条。
無表情で穴が開くくらい見つめる。
フイに柔らかい表情を浮かべる。
サラサラとした黒髪にフワリと触れ
「まるで眠り姫だ…」
…
スタスタと席に戻った条。
たちまち周りの女子が悲鳴をあげる。
「見た?聞いた?超萌えたーっ中嶋君なら許せるーっ」
「あっあんな事言われたーい!」
「うるさ…キザな野郎。…何だあいつ。
あの顔…何だよ。
チッ」
まだ春。
もう春。
眠り姫も眠りから覚めるころ。
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