ぐるりぐるり廻る秒針 何度死んで 幾度廻り 繰り返し生に縋り 思うは人の世の醜さ 誰かが言っていた。現世の誰かか、前世の記憶か。 『世界は醜いからこそ美しい』 美しい? 醜いモノが、それ以上のモノに昇華することが出来るんですか? そもそも美意識とは人それぞれであり、他人の思考に同調することなど愚かな行為だ。 「…というのが…僕の持論、なんですが」 「ふーん、だから骸クンは世界を壊したいんだね」 暗い部屋の中、横たわる僕を見下ろす白い影。影を白、と表現するのは奇妙であるが、彼には最も相応しい。 「だったら僕と手を組まない?」「御冗談を…生かす気も、無いくせに」 世界を己の手中に治めるという時点で、僕等の思想は矛盾している。 視線だけ彼に移すと、弧を描いた口元は更に深くなった。 と、突然僕に足を振り下ろす。 「が…は、ぁッ…!」 「心外だなぁ…僕ってそんなに信用ないかなぁ?」 顔色一つ変えないで、話しながら徐々に力を込める。 嫌な音が、体内に、響いた。 「は、ぁ…!!」 「言ったよね。『やることさえやってくれれば、幸せになれる』って」 折れた肋骨が、体の中で凶器になる。 意識を飛ばせればどんなにいいか、激痛がそれを許さない。 「そういえばボンゴレ十代目って、案外大したことことなかったよ。ボスもボスなら、部下も部下だね」 嗚呼 甘い香りが キモチワルイ ========== 世界は醜いからこそ、 *前 [戻る] |