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◆色んな意味で怪我をした
※綱吉生誕記念小説!綱吉、風、雲雀兄弟パロ。風→綱←雲 風味。





 沢田家には個性豊かな三人の兄弟がいる。
といっても、一番下の綱吉は今年小学生になったばかりで、どちらかというと長男・次男が一癖も二癖もあるのだ。

長男の風は、一見物静かな好青年であるが、数多の格闘技を会得し、その並外れた強さにか並盛の裏社会の人間ですら恐れて手を出せないという噂が常に纏わりつく高校生であったりする。

次男の恭弥は、風同様に並外れた強さを持ち合わせているが、性格は正反対で、トンファーを武器に風紀を乱すという理由で不良を片っ端から潰して、並盛一体にその名を轟かせている中学生だ。しかし、面持ちが兄の風に似ているということを嫌い、風を嫌っているらしい。

正反対な二人だが、唯一一緒なところがある。
実はこの二人、ブラコンなのだ。それも末っ子の綱吉限定の。
それはもう凄まじい溺愛っぷりで、普段の二人を知っている者が見たら目を白黒させるだろう。

そんな二人だが、10月を過ぎてからいつになくそわそわしていた。落ち着かないというか、暇さえあれば物思いに耽っていた。
二人がブラコンだと知る沢田家に家庭教師として居候しているリボーンは、カレンダーを見て14日の記しに眉間にしわを寄らした。
そう、14日は末っ子綱吉の記念すべき7歳の誕生日なのだ。二人はその為のプレゼントに悩み悩んでいたのだ。

「…前日は俺のバースデーなんだがな」

リボーンは、ふっと自嘲気味に微笑した。
この分だと忘れられているだろう。


――そして、あっという間に前日の13日になった。


長男・次男の二人は明日に備えて、考えて考えぬいて決めたプレゼントを買いに行った為帰りが夕刻まで遅れた。
玄関前でばったり会った二人は(主に恭弥が)機嫌を悪くした。

「ワォ、君も綱吉のプレゼント買いに行ってたわけ?」

「そういう貴方も、ですか。つくづくこういう時似ますよね、私たち」

「気持ち悪くて反吐が出るね」

プレゼントを部屋に隠して居間に降りると、そこには母親の奈々にお玉を片手に二人を睨み上げていた。

「二人とも遅いわよ!今日はリボーンちゃんの誕生日なのにっ!」

「「あ…」」

綱吉の事ばかり考えていたせいか、リボーンの誕生日をすっかり忘れていた二人。リボーンはハァと一つ溜め息をついた。

「お前らの事だ、どうせ忘れてたんだろ? ツナは覚えてくれていて、プレゼントまで用意してくれたんだけどな」

「ふぉん兄ちゃん、きょうや兄ちゃん、りぼーんのお誕生日わすれちゃダメだよ!いけないんだぁ!」

「すいません、本当に忘れてました」

「僕もだよ、ごめんね綱吉」

「俺に謝んねーのかよ」

ケーキの食べかすを口の周りに一杯つけて、角のない声で怒るなんとも可愛らしい綱吉に、二人は悪気なんて更々無い態度でリボーンではなく綱吉に謝った。
どこまでも綱吉である。
 

その後リボーンは奈々の美味しい料理に満足して満足したのか、今は居間でエスプレッソを優雅に飲んでいた。

「ふあぁ…」

「あら、もうこんな時間。つっくん、お風呂に入ってらっしゃい。今日も沢山遊んだんでしょ?」

しこたまケーキを食べて、お腹一杯になった綱吉は眠くなってきたのか目を擦りながら頷く。
それを合図にか、風と恭弥は互いに睨む。

――“綱吉をお風呂に入れるのは私(僕)です(だよ)!!!!”――

「綱吉、今日は私と入りましょう」

「何行ってんの、綱吉は僕と入るんだよ」

「ん―…、おれどっちでもいい」

「だってさ、どうする?僕としては殴り合いになっても譲れないよ」

「奇遇ですね、私もです」

静かに微笑し睨み合う二人に火花が散る。それを見ていたリボーンは綱吉の隣でため息混じりに告げた。

「ツナ、お前が決めてやれ。じゃないとまた喧嘩し始めるぞ」

そういうと綱吉は「それはダメっ」と焦って、目の前の風の足にしがみついて止めようとする。

「つ、綱吉?」

「今日はふぉん兄ちゃんと入るっ」

その一言が効いたのか、恭弥はその場に崩れた。
風はそれはもう幸せのあまり破顔して綱吉を抱き上げた。

「今日は私の勝利ですね。さ、行きましょう綱吉っ」

遠くなっていく足跡と、「ふぉん兄ちゃんの髪洗ってあげるねー」という綱吉の楽しそうな声に、恭弥はその場に突っ伏し握り拳を作った。

「明日は見てなよ…!」

負けず嫌いの次男だった。



―――そして、二人にとっては決戦の14日がやって来た。


「綱吉、誕生日おめでとうございます」

「おめでとう綱吉」

前日と劣らずな夕飯とケーキが並ぶ中、我先にとプレゼントを渡す長男と次男。綱吉は二人からのプレゼントに大喜びだ。
その後も、ケーキを食べさせるのは自分だ、綱吉と遊ぶのは自分だ、と喧嘩を繰り返す長男・次男。綱吉は何だかんだで楽しいらしく、リボーンと母親と一緒にそんな二人を笑っていた。
 

「あっ」

どれくらい過ぎただろうか、綱吉が急に何かを思い出し立ち上がり、風の裾をくいっと引っ張って、しーっと人差し指を立てて玄関まで連れて行った。

「どうかしたのですか?」

「あ、あのね、オレふぉん兄ちゃんの誕生日におめでとうしか言えなかったでしょ?オレばっかプレゼント貰って、……だから、これっ」

はいっ!と渡されたのは小さな可愛らしい白い花だった。
そんな前の事を気にしてたのか、と風はその花を受け取って、それはもう幸せそうに笑った。

「お誕生日プレゼントありがとうっ!ふぉん兄ちゃん大好きっ」

ちゅ。と不意打ちの如く頬にキスされた風は、カチンと音が聞こえるぐらいに固まった。

「ちょっと、何抜け駆けしてんのさ」

刹那、背後から蹴りを入れられた。目の前の綱吉は恭弥に抱き上げられ、風はと言うとその場に突っ伏したまま動けずにいた。
恭弥は反論してこない風を不思議に思い、綱吉に聞いたが、なんでもないっ、と恭弥に笑いかけ、

「今日はきょうや兄ちゃんとお風呂はいる!」

と、幸せそうに破顔した恭弥と風呂場へと向かって行った。

遠くなっていく足跡に、風は動けずにいた。




いろんな意味で怪我をした


(誕生日でもないのに、自分はなんて幸せ者なんだろうか…)





綱吉生誕記念小説!
そして初兄弟パロ…!
またグダグダになって…/(^o^)\
風が喜んでどうする\(^o^)/お、おかしいなあっこんな予定じゃ無かったのに!!

綱吉お誕生日おめでとう!


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あきゅろす。
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