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パラレルテイルズ
さびしいんです(ゼロス)
「ロイドくん遅いなー…」
紅く染まっていく窓の外を眺めて、ゼロスが呟く。
時計は一番上と下を指している。
いつもならもう迎えに来るのに。
「いいじゃん。いつもは早いんだからよ。ハスタなんていつもおそいぞ」
棚の上で欠伸をしていたスパーダがひらりと降りて来る。
細い足を綺麗に曲げて軽い音で着地するとゼロスの眉間をぺろりと舐めた。
「ンな顔してたらモーゼスがこわがるだろーがよ」
「……うー」
「ワイがなんじゃ?」
きゃんっと嬉しそうに吠えたモーゼスは既に迎えに来ていたジェイを振り切って戻って来る。
玄関からジェイの舌打ちとガイの慌てた様な声が聞こえたが気にしない。
「なんじゃなんじゃゼロのじっ!くらいのぅ!」
「おれさまほっといてほしい気分ー…」
はふ、と溜息を吐いてどっか行けと言わんばかりに尾をぺしぺしと振るゼロスの背中にモーゼスがどかりとのし掛かった。
「げんきだせぇや!きょうはようじがあるだけなんじゃろ?」
「ジェイ君は何だかんだ言って毎日すぐ来てくれるよねー…」
「…ほうじゃろ」
照れ照れと尾を足で抱き込んだモーゼスの身体が突如後ろに倒れた。
首輪代わりである縞模様の布を掴んだジェイがぐいっと引っ張ったのだ。
「何をしてるんですか、馬鹿犬。帰りますよ。それともここに永住しますか?」
「かっ、かえる!かえるわ!じゃあの、ゼロのじ!みどりの!」
「また明日なー!」
「ばいばーい」
ぶんぶん手を振るスパーダに対し、ゼロスはとてもつまらなさそうに背を向けたまま尾を振った。
ジェイに引かれたまま扉をくぐったモーゼスがガイに「じゃあの」と挨拶をして、かちゃりと扉が閉まった音の後にガイが部屋に入って来る。
「一番さわがしいのが帰ったな」
「なー」
二匹が毛布に潜り込む横でゼロスは未だ膨れている。

「ロイドくん…早く来ないかなぁ…」


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あきゅろす。
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