[携帯モード] [URL送信]

学園テイルズ
桜色の翼
群がる同級生の頭の上に桜の花びらが降りかかる。それはまるでかき氷にかけられる苺ミルクのように白い掲示板にも張り付いては滑り落ちていった。
「ロイドー、また同じクラスだぜ」
「まじで?やりぃ!」
人混みから脱出して息を大きく吐き出したスパーダの言葉にロイドが満面の笑みを浮かべる。中等部から同じクラスだった彼らはもしかすると“問題児”という括りでまとめられているのかもしれない。しかしそんなことは露とも思わない、仮に知っても気にしない彼らはただ純粋に喜んでグラウンドと校舎を繋ぐ階段を登った。

高等部初日。
教室に向かう人の列は見慣れた人ばかりの中でも少しだけ浮ついている。

一度教室に集合してから高等部入学式の会場である第二体育館に集合。中等部の卒業式に言われたその言葉に習ってロイドも教室に足を踏み込んだ。
その瞬間、教室内に女子の黄色い悲鳴が響き渡る。勿論それは偶々タイミングが重なっただけであり、ロイドにそんなに騒がれる程モテた覚えはない。
彼女達は皆一様に教室の前に群がって、携帯電話で何かを撮っている。その黒板には上級生が書いたであろうメッセージと手作りの紙花しかないのだが。
「…なんだァ?」
「黒板ってあんなモテたっけ」
首を傾げたスパーダの隣でロイドがぼけっとそんなことを呟いた。知るかと答えるのすら馬鹿らしいと思ったのか目を細めて溜息を吐いたスパーダはさっさと席についてしまったため、ロイドは暫く一人入り口に突っ立ってきゃいきゃいと盛り上がる女子を見つめるハメになってしまった。
女子の声以上に携帯電話のシャッター音が騒がしい。
男子達は彼女らの熱気に気圧され、殆どが教室の後ろで草食動物のようにもそもそとそちらを伺っているだけだ。
そんな情けない尻に敷かれるタイプの男達と目があって、同じく女子に気圧されてしまったロイドもそちらに行こうかと足を踏み出した時、教室の入り口から可愛らしいソプラノが転がり込んだ。
「きゃっ!」
本当に転がり込んだそれは、躓いてべちゃりと床の友達になったコレット。
「うわ、大丈夫かコレット!?」
「えへへ。だいじょぶだいじょぶ」
赤くなった額に手をあてて笑うコレットは立ち上がってスカートの埃をはらった。それから黒板の前で盛り上がる女子を見てわぁと歓声を上げる。
「そっかぁ、三組にもあったんだね〜」
「なにがだ?」
「ゼロスのメッセージだよ〜」

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!